認知症で暴力的になったら精神科へ|家族がまず知るべき対応と正しい対処法

豆知識
higejii(ひげ爺)
higejii(ひげ爺)

「優しかった父が、最近怒鳴ることが増えた」「母が急に手を振り上げてきて怖い」――
認知症の方の介護をしていると、このような場面に直面することがあります。
言葉の暴力(暴言)や、身体的な暴力(叩く・押す・投げるなど)は、家族にとって大変つらい出来事です。

多くの人は「私の接し方が悪いのだろうか」と自分を責めたり、「いつまで続くのか」と絶望感を抱いたりするかもしれません。ですが、ここで重要なのは家族が悪いのではないということ。
認知症の「症状のひとつ」として、暴言や暴力が出てくることが多くあるのです。

そのときに頼ることができるのが「精神科」あるいは「もの忘れ外来」であり、薬物療法や環境調整によって改善できる可能性は大いにあります。

この記事では、
・認知症による暴力がなぜ起こるのか
・家族にできる初期対応
・精神科を受診すべき理由
・専門的な治療やサポート内容
を、具体的にお話ししていきたいと思います。

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認知症で暴力が現れる理由

まず知っていただきたいのは、暴力や暴言はその人の「性格」ではないという点です。
いくつかの原因があります。

  1. 不安・恐怖からの防衛反応
    自分がどこにいるのか、目の前の人が誰なのかが分からない不安や恐怖で、人は攻撃的になります。これは「自分を守ろう」とする自然な行動でもあるのです。
  2. 身体的な不快感や痛み
    トイレに行きたい、身体が痛い、疲れている、喉が渇いた――こうした不快感を上手に言葉にできないため、暴力という形で表現されることがあります。
  3. 妄想や幻覚
    「お金を盗まれた」「家に泥棒がいる」といった妄想や幻覚によって、周囲を敵だと感じ、攻撃的になるケースがあります。
  4. 脳の変化そのもの
    認知症は脳の病気です。前頭葉や辺縁系の機能低下により、感情のコントロールが効かなくなることがあります。

家族にできる初期対応

暴力が見られたとき、まず大切なのは「安全確保」です。自分や他の家族、介護者がケガをしないように注意することが最優先です。

距離をとる

すぐに言い返したり、抑え込もうとせず、物理的な距離をとってみましょう。相手が落ち着く時間を確保することが重要です。

否定せず受け止める

「そんなこと言わないで!」と否定すると、本人はさらに興奮してしまいます。困惑する内容でも「そう感じたんだね」と受け止める姿勢が大切です。

環境を整える

大きな音や騒がしい環境、光の加減が不快感を強めることがあります。部屋を落ち着いた環境に整えるだけで、興奮が収まる場合も少なくありません。

それでも続くときは「精神科」へ

家庭で工夫しても暴力がおさまらない場合、精神科を受診することが重要です。

なぜ精神科なのか?

  • 認知症の暴言・暴力は医学的には「BPSD(行動・心理症状)」と呼ばれ、薬物治療が効果的なケースがあります。
  • 精神科では抗精神病薬や抗不安薬を調整し、本人が落ち着きやすくなるよう対応できます。
  • さらに「介護方法」「環境改善」「地域資源の活用」についても指導してもらえるのです。

精神科受診の流れ

  1. まずは地域の「もの忘れ外来」や「精神科クリニック」に電話して相談。
  2. 診察時には、暴力が起きた状況をメモや動画で記録して持参すると診断がスムーズです。
  3. 薬で落ち着くことも多く、介護生活の負担が大幅に軽減される可能性があります。

薬だけではない支援

精神科に行ったからといって「すぐ薬漬けになるのでは?」と心配される方も多いですが、近年は非薬物療法も重視されています。

  • デイサービス利用による気分転換
  • 作業療法やリハビリでのストレス発散
  • 専門職による「認知症ケア技術」活用
  • ケアマネジャーと連携した環境改善

これらを組み合わせることで、暴力や暴言の頻度がかなり減少するケースが多く報告されています。

家族が「限界」を迎える前に

介護者が一番つらいのは、愛する家族から攻撃されるように感じることです。
「このままでは自分が倒れてしまう」と思ったら、ためらわず専門機関に助けを求めることが必要です。

  • 地域包括支援センター
  • 保健所や市役所の介護支援課
  • 認知症カフェや家族会

ひとりで抱え込むのではなく、専門のネットワークを利用することで心の負担が軽くなります。

まとめ

認知症の暴力や暴言は、 家族を責めるものではなく病気による症状 です。
そして、その対応には精神科の受診が欠かせない場面があります。薬物療法や非薬物療法を含めた支援によって、症状を和らげることは十分に可能です。

大切なのは、

  • 暴力が起きても自分を責めないこと
  • 安全を確保すること
  • 早めに精神科や専門機関に相談すること

「もう限界」と感じる前に、一歩を踏み出してみてください。

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