
「先祖代々受け継いできたお墓があるけれど、お参りする人がいなくなってしまう…」
「メインのお墓以外にも、小さな古い墓石がいくつかあって、墓じまいの費用が心配…」
このような悩みを抱えている方は、決して少なくありません。
特に、敷地内にメインの大きなお墓が1つ、小さめの古いお墓が4つ、さらに少し離れた場所に別の墓石が1つあるような場合、合計6基もの墓石を撤去することになります。「一体いくらかかってしまうんだろう?」と不安になるのも無理はありません。
この記事では、計6基の墓石を処分して墓じまいをする際にかかる全体の費用相場をはじめ、費用が決まる仕組みや、費用の抑え方、具体的な手続きの流れまでを、わかりやすく丁寧にお伝えします。
まずは結論!墓じまい全体にかかる総額の目安
結論からお伝えすると、今回のように「計6基の墓石がある場合」の墓じまい総額の目安は、およそ80万円〜350万円とかなり幅があります。
なぜこれほど幅があるのかというと、墓じまいの費用は「石を壊して撤去する費用」だけで終わらないからです。
墓じまいをするには、大きく分けて次の4つの費用が必要になります。
- 墓石の撤去・処分費用(石材店へ支払うお金)
- 閉眼供養(魂抜き)のお布施(お寺へ支払うお金)
- 離檀料・お礼(お寺の檀家をやめる場合)
- 新しい納骨先の費用(取り出したお骨を次に納める場所)
この4つの合計が、墓じまい全体で支払うお金になります。
【費用内訳の早見表】
| 費用の項目 | 内容 | 概算相場 |
| ① 墓石の撤去・更地化 | 敷地内の5基+離れた1基(計6基) | 40万円 〜 100万円 |
| ② 閉眼供養のお布施 | お墓の魂抜きのお経 | 3万円 〜 10万円 |
| ③ 離檀料・寺院へのお礼 | 長年の感謝を込めたお布施 | 5万円 〜 20万円 |
| ④ 新しい納骨先 | 合祀墓・樹木葬・納骨堂など | 5万円 〜 150万円 |
| 【合計】 | 上記すべての概算 | 約80万円 〜 350万円 |
それでは、最も気になる「墓石の撤去費用」から詳しく見ていきましょう。
【本題】墓石6基の撤去費用はいくらかかる?
お墓を撤去して更地(更地:何もないまっさらな状態)にする工事費用は、一般的に「お墓の敷地面積(坪数や平米数)」によって計算されます。
一般的な相場は、1平米(約0.3坪)あたり約10万円〜15万円です。
しかし、今回のように「大小含めて6基の墓石がある」「少し離れた場所にもう1基ある」というケースでは、標準的な料金よりも費用が上がることがあります。
なぜ費用が変わるのか? 3つのポイント
ポイント1:墓石の「数」と「大きさ」
石材店が墓石を撤去するときは、クレーンなどの重機を使って石を吊り上げ、トラックで運んで処理します。
基数が多くなると処分する「石の総重量」が増えるため、その分処分費用が高くなります。
- メインの墓石1基:標準的な大きさ
- 小さめの墓石4基:小さめであっても石の重さがあるため処分費がかかる
- 離れた場所の墓石1基:追加の作業が発生する
ポイント2:「少し離れた場所にある1基」の存在
メインの5基がある場所から少し離れた場所に1基ある場合、作業が一度で終わらない可能性があります。
石材店がトラックや重機を移動させたり、人手を分けて作業したりする必要があるため、「別場所移動費」として数万円の追加費用がかかることがあります。
ポイント3:墓地の「立地条件」
実はお墓の撤去費用で一番大きく金額が変わるのが「作業のしやすさ(立地)」です。
- 費用が安くなりやすい場所:トラックやクレーン車をお墓のすぐ脇まで横付けできる平地。
- 費用が高くなりやすい場所:山の中にある、長い階段を上る必要がある、通路が狭くて重機が入らない場所。
もし重機が入らない場合、職人さんが手作業で石を運んだり、特殊な小型運搬機を使ったりするため、人件費が跳ね上がります。
6基の墓石撤去費用の現実的なシミュレーション
- 条件が良い場合(平地・車がすぐ横に停められる):約 40万円 〜 60万円
- 条件が悪い場合(山の上・階段が多い・重機が入らない):約 70万円 〜 120万円
墓石撤去以外にかかる3つの費用
墓じまいを進めるためには、工事費以外の費用も準備しておく必要があります。
① 閉眼供養(魂抜き)のお布施:3万円〜10万円
お墓を壊す前に、お坊さんにお経をあげてもらい、お墓に宿っているご先祖様の魂を抜く法要を行います。これを「閉眼供養(へいがんくよう)」や「魂抜き(たましいぬき)」と呼びます。
この際、お寺にお渡しするお礼(お布施)として、3万円〜5万円程度(お車代・御膳料を含めると〜10万円程度)が相場となります。
- 疑問:「6基あるから、お布施も6倍になるの?」
- 回答:基本的には1回の法要でまとめてお経をあげていただくため、お布施が6倍になるわけではありません。ただし、離れた1基の場所までお坊さんに移動していただく必要がある場合は、少し多めにお包みするか、事前にお寺にご相談すると安心です。
② 離檀料(りだんりょう):5万円〜20万円
お寺の敷地内(寺院墓地)にお墓があり、そのお寺の「檀家(だんか)」をやめる場合に、これまでお世話になった感謝の気持ちとしてお渡しするお金です。
インターネットなどで「離檀料で高額請求された」というニュースを見かけることがありますが、一般的な相場は法要1回分〜2回分に相当する5万円〜20万円程度です。
※公営の霊園(市営墓地など)や民間の霊園にお墓がある場合は、離檀料は発生しません。
③ 新しい納骨先の費用:5万円〜150万円
墓じまいをした後、取り出したご先祖様のお骨を「どこに新しく納めるか」によって費用が大きく異なります。
主な移動先(改葬先)の費用相場は以下の通りです。
1. 合祀墓(ごうしぼ)/永代供養墓(えいたいくようぼ)
- 費用:1柱(1人分)あたり 5万円 〜 20万円
- 特徴:他の方のお骨と一緒に埋葬し、施設が永久に管理・供養してくれます。最も費用を抑えられる方法です。
2. 樹木葬(じゅもくそう)
- 費用:20万円 〜 80万円
- 特徴:シンボルツリー(樹木や花)の周辺にお骨を埋葬する方法です。自然が好きだった方にも人気があります。
3. 納骨堂(のうこつどう)
- 費用:50万円 〜 150万円
- 特徴:屋内のロッカーや棚のような場所に骨壷を保管します。天候を気にせずお参りができます。
4. 手元供養(てもとくよう)/散骨(さんこつ)
- 費用:数万円 〜 20万円
- 特徴:自宅に小さなお骨入れを置いたり、海へ粉末状にしたお骨を撒いたりする方法です。
4. 先祖代々のお墓ならではの注意点「骨壷の数」
今回のケースで特に気をつけなければならないのが、「お骨(骨壷)が何人分あるか」という点です。
古くからある先祖代々のお墓の場合、墓石の下(カロートと呼ばれる納骨スペース)を開けてみると、予想以上に多くの骨壷が出てくることや、古いお骨が土に還っていることがあります。
納骨先のお金は「お骨の数」で掛算になることがある
たとえば、新しい納骨先として「1人あたり10万円」の合祀墓を選んだとします。
- お骨が 2人分 出てきた場合:10万円 × 2 = 20万円
- お骨が 8人分 出てきた場合:10万円 × 8 = 80万円
このように、新しい納骨先によってはご先祖様の人数分だけ費用が増える仕組みになっている場合があるため注意が必要です。
もしご先祖様の人数が多い場合は、「〇人までまとめて〇万円」というパックプランがある永代供養墓を選ぶか、全員分のお骨をまとめて1つの大きな壺に入れ直す(または合祀する)などの対応を検討すると、費用を大きく抑えることができます。
墓じまいをスムーズに進める5つのステップ
墓じまいは、勝手に石材店を呼んでお墓を壊して終了、というわけにはいきません。法律(墓地、埋葬等に関する法律)に基づいた手続きが必要です。
全体の流れをわかりやすく5つのステップで解説します。
【ステップ1】親族・家族での話し合い
▼
【ステップ2】墓地管理者(お寺・霊園)への相談
▼
【ステップ3】新しい納骨先の決定 & 石材店からの見積もり取得
▼
【ステップ4】役所で行政手続き(「改葬許可証」の取得)
▼
【ステップ5】閉眼供養・工事・納骨
ステップ1:親族・家族での話し合い
まずは、親戚や家族としっかり話し合いをしましょう。
「勝手にお墓を無くされた」と後から親戚とトラブルになるケースが非常に多いためです。なぜ墓じまいをするのか、新しい納骨先はどうするのかを説明し、同意を得ることが第一歩です。
ステップ2:墓地管理者(お寺・霊園)への相談
現在のお墓を管理しているお寺の住職や、霊園の管理事務所に「墓じまいをしたい」という意向を伝えます。
お寺にお世話になっている場合は、これまでの感謝を伝えつつ、理由(遠方に住んでいて管理が難しいなど)を誠実に話すことが大切です。
ステップ3:新しい納骨先の決定 & 石材店からの見積もり取得
- 取り出したお骨をどこに移動するか(新しい納骨先)を決め、契約します。
- 同時に、お墓を解体・撤去してくれる石材店に見積もりを依頼します。複数の石材店から見積もりを取る(相見積もり)ことをおすすめします。
ステップ4:役所で行政手続き(改葬許可証の取得)
お骨を別の場所に移動させるためには、現在のお墓がある市役所・町村役場から「改葬許可証(かいそうきょかしょう)」という書類を発行してもらう必要があります。
必要な書類は以下の通りです。
- 改葬許可申請書(役所の窓口やウェブサイトで入手)
- 埋蔵証明書(現在のお墓の管理者に署名・捺印をもらう)
- 受入証明書(新しい納骨先の管理者が発行)
ステップ5:閉眼供養・工事・納骨
- お坊さんにお経をあげてもらい、魂抜き(閉眼供養)を行います。
- お骨を取り出し、石材店がお墓を壊して更地に戻します。
- 新しい納骨先へお骨を移動させ、納骨を行います。
墓じまいの費用をできるだけ安く抑えるコツ
合計6基ものお墓を撤去する場合、工夫次第で費用を大幅に節減できます。ポイントを3つご紹介します。
① 複数の石材店から見積もりを取る(相見積もり)
お墓の撤去費用は、石材店によって金額の計算方法が異なります。
特に今回のように「基数が多い」「少し離れた場所にもお墓がある」という特殊な状況の場合、A社では80万円と言われた作業が、B社では50万円で済むということも珍しくありません。
必ず2〜3社の石材店にお墓の現地を見てもらい、見やすい見積書を作成してもらいましょう。
※注意:お寺の敷地内(寺院墓地)にお墓がある場合、お寺が指定した「指定石材店」しか作業できない場合があります。その場合は相見積もりができないため、事前にお寺へ確認してください。
② 新しい納骨先は「合祀(ごうし)」を検討する
ご先祖様のお骨の数が多い場合、1人ずつ個別にお墓を建てたり納骨堂に入れたりすると、費用が膨らんでしまいます。
「合祀(他の方のお骨と一緒に大きな墓標の下へ納めるスタイル)」を選ぶと、1人あたり数万円〜で済むため、全体の費用を非常に安く抑えられます。
③ 手続きを自分で進める
改葬許可証の取得などの手続きを行政書士などの専門家に代行してもらうと、5万円〜10万円ほどの報酬が発生します。
役所での手続きは少し手間ですが、自分で行えば申請手数料の数百円程度で済みます。
まとめ
メインのお墓1基、小さめの先祖墓4基、少し離れた場所の先祖墓1基の合計6基の墓じまい費用についてまとめます。
- 費用総額の目安:約80万円 〜 350万円
- 墓石6基の撤去費用:約40万円 〜 100万円(立地や作業のしやすさで大きく変動)
- その他の費用:閉眼供養(3〜10万円)、離檀料(5〜20万円)、新しい納骨先(5〜150万円)
お墓をまとめる作業は、ご先祖様を大切に思い、次の世代に負担を残さないための前向きで優しい選択です。
まずは、親戚やご家族と話し合いの場を持ち、現在のお墓がある市役所で手続きの流れを確認することから始めてみてください。一歩ずつ進めていけば、決して難しいことではありません。ご家族皆様が納得のいく形で墓じまいが進むことを心より応援しております。

コメント