
「来年、パソコンの値段が上がるかもしれない」
そう聞いても、正直あまりピンとこないかもしれませんよね。
でも、もしあなたが
- そろそろパソコン買い替えようかな
- 動作が重いからメモリ増設して乗り切ろうかな
- 子ども用や在宅用のPCをもう1台買おうかな
と考えているなら、「メモリ不足で来年はパソコン高騰が確実」という話は、かなり現実的で、そして無視できないテーマです。
この記事では、難しい専門用語はなるべくかみ砕きながら、
- なぜ“メモリ不足”がPC高騰の引き金になるのか
- どんな理由で「来年以降が危ない」のか
- いま何をしておけば損をしないで済むのか
を、あなたに語りかけるような形で、じっくりお話ししていきます。
「高騰するかも」ではなく、「高騰がほぼ確実」と言える理由も、順番に見ていきましょう。
メモリ不足がなぜPC高騰につながるのか
まず最初に整理しておきたいのが、「メモリ」と「パソコン本体の値段」の関係です。
「メモリって、単なるパーツのひとつでしょ?
なんでそれだけでパソコン全体が高くなるの?」
きっと、そう思いますよね。
でも、最近のPC事情を考えると、メモリは “主役級” のパーツになりつつあります。
そもそもメモリって何をしている?
イメージとしては、
- ストレージ(SSD/HDD)=本棚(データを長期保管する場所)
- メモリ(RAM)=机の上(今使う本や資料を広げておく場所)
と思ってください。
机(メモリ)が狭いと、ちょっと作業するだけで本が山積みになって、すぐにゴチャゴチャしますよね。
パソコンも同じで、メモリが少ないと
- ブラウザのタブをたくさん開く
- ZoomやTeamsでオンライン会議
- 画像編集や動画再生、配信
- バックグラウンドでのウイルス対策・クラウド同期
などを同時にやると、一気に動作が重くなります。
つまり、現代のPCは「そこそこ快適に使うだけ」でも、かなりのメモリを食うようになってきているのです。
最近の“標準メモリ”はどこまで増えた?
数年前までなら、
- 一般的な用途:8GBで十分
- ちょっと重い作業:16GBあると安心
こんな感じの感覚でした。
ところが今は、
- ブラウザ+Office+オンライン会議 → 8GBだとギリギリ
- 写真編集・軽い動画編集 → 16GBが実質標準
- 配信・動画編集・AI系ツール → 32GB以上も珍しくない
という世界になり始めています。
さらに、Windows 11自体がメモリ消費多めだったり、バックグラウンドでAI関連の機能(コパイロット的なものなど)が動くようになると、必要なメモリ量はじわじわ増えていきます。
つまり、PCメーカーは
- これまでの「8GBモデル中心」ではクレームや不満が増える
- 「16GBを標準」にしないと体験が悪くなる
というプレッシャーを受けているわけです。
標準メモリを増やせば、その分だけ原価は確実にアップします。
ここに、「メモリ価格そのものの値上がり」が重なるとどうなるか…。
そう、パソコンの本体価格を上げざるを得なくなるのです。
なぜ「来年」はメモリ不足で高騰が確実なのか
では、「なぜ来年なのか」という話に踏み込んでいきましょう。
ここがいちばん気になりますよね。
ポイントになるのは、次のような要素が一気に重なっていることです。
- 世界的なAIブームでメモリ需要が急増
- スマホ・データセンター・PCが一斉にハイメモリ化
- 半導体工場の投資は一気に増やせない
- 円安・インフレで日本向けPCの価格に上乗せ
- Windows 11普及とその先の新OSへの対応
順番に、整理してみますね。
AIブームがPC用メモリまで圧迫する
ChatGPTなどの生成AIブームで、一番影響を受けているのは「サーバー向け」のメモリ(HBMなど)です。
でも、その影響がじわじわPC用メモリにも波及してきています。
- 大量のAIサーバーを動かす → 膨大なメモリが必要
- メモリメーカーは、高く売れるサーバー向けを優先生産
- PC・スマホ用のメモリ生産ラインが相対的に削られる
こうなると、PC向けのメモリの供給がタイトになり、価格が上がります。
あなたが買うパソコンの中には、当然メモリが乗っていますよね。
メーカーがメモリを仕入れる価格が上がれば、そのコストは最終的に「本体価格」に上乗せされます。
スマホ・PC・データセンターの“三つ巴”メモリ争奪戦
さらにやっかいなのが、メモリを大量に使う相手が、PCだけではないという点です。
- スマートフォン:ハイエンド機は16GB前後が当たり前に
- データセンター:AI・クラウド・ストリーミングで超大容量化
- ゲーム機や車載システムも、メモリをどんどん積む時代
つまり、メモリという「共通パーツ」を、あらゆる機器が奪い合っている状態なのです。
あなたが「メモリ16GBのノートPCが欲しい」と思っている裏側で、
- 世界中のスマホメーカー
- クラウド事業者(AWS、Azure、GCPなど)
- 自動車メーカー・家電メーカー
が、同じ工場のメモリを取り合っている…というイメージですね。
需要が供給を上回れば、価格は自然と上がります。
特に、AI関連は「多少高くても買う」ので、そこに引っ張られていく形になります。
メモリ工場は“急ブレーキ&急アクセル”が苦手
「じゃあ、工場増やせばいいじゃん」と思いますよね。
でも、半導体工場はそんな簡単な話ではありません。
- 新工場の建設:数千億〜兆円単位の投資
- 稼働まで:数年スパン
- 需要が落ちると一気に赤字化するリスク
そのため、各社
- 以前の「半導体不況」で痛い目を見ている
- いきなり生産能力を増やしすぎるのを恐れている
という事情があります。
結果として、
- 目先の需要急増には、すぐには対応できない
- 「需要>供給」の状態がしばらく続く
- メモリ価格が高めで安定(またはさらに高騰)
という流れになりやすいのです。
そして、その“しばらく”という期間が、まさに「来年〜数年間」に重なってくると見られています。
円安・インフレで日本向けPCは特に割を食う
ここ数年、円安が進んでいますよね。
- メモリはほぼすべて海外製
- PCメーカーも海外ブランドが多数
- 部品の仕入れはドルやウォン建てが基本
という構造なので、円の価値が下がると
- 同じメモリを仕入れるにも、以前より多くの「円」が必要
- その差額が、そのままPC本体価格にのしかかる
という状況になります。
世界的なインフレで、物流コストや人件費も上がっていますから、
「メモリ価格の高騰 × 円安 × インフレ」という“三重苦”が、日本のPC価格を押し上げる要因になってくるわけです。
Windows 11・次期OSで“メモリ最低ライン”が上がる
そして、見落とされがちなのがOS側の要因です。
- Windows 10 → 11 への移行が本格化
- その先には、さらに次のWindowsが控えている
- AI機能を前提としたOSは、メモリをたくさん食う傾向
OSの最低動作要件としては8GBあれば動いても、
- 実用的に快適に動かすには16GBほぼ必須
- 将来的には「一般用途でも16GBが当たり前、できれば32GB」という世界
が、かなり現実味を帯びてきています。
そうなると、PCメーカーは
- エントリー機:最低でも8GB、できれば16GB
- ミドル機:16GB標準
- ハイエンド機:32GB以上
とラインナップを組み替えざるを得ません。
当然、その分だけ搭載メモリコストが跳ね上がり、
「昔と同じ価格帯なのに、スペックがしょぼいPC」か
「スペックは十分だけど、価格が大幅アップしたPC」か、
どちらかを選ぶような状況になりやすいのです。
実際、どれくらい高くなりそうなのか?
「理屈はわかったけど、結局いくらくらい高くなるの?」
ここが一番気になるところですよね。
具体的な数字は為替や市況で変わるものの、ざっくりイメージとしては…
- 同じクラスのノートPCが、1〜3万円ほど高くなる
- あるいは、価格は据え置きでもメモリやストレージが削られる
- 自作PC向けメモリも、容量単価がじわじわ上昇
といった「体感できるレベル」の変化が起こりやすいです。
メーカーPCの例
たとえば、今現在は
- Core i5クラス
- メモリ16GB
- SSD 512GB
- 価格:10〜12万円台
という、かなりお買い得なモデルがちょこちょこ見つかります。
ところが来年以降になると、
- 同じような構成で、実質12〜14万円前後が“当たり前”に
- 10万円を切るモデルは、メモリ8GB・SSD 256GBにスペックダウン
- 「安いから」と飛びつくと、数年後に明らかに苦しくなる
という構図が見えてきます。
自作PCの例
自作派の方なら、もう肌感覚で感じていると思いますが、
- 16GB×2(32GB)のメモリキットが、かつての16GBキット並みの値段
- 32GB→64GBにしようとすると、一気に財布が重くなる
- メモリ価格の「底値ゾーン」はすでに過ぎた可能性が高い
という雰囲気があります。
自作は「予算内でどこまで盛れるか」が醍醐味ですが、
メモリ価格が上がると、グラボやCPUに回せる予算が削られてしまいます。
つまり、同じ予算でも「一段ランクの低い構成」になりやすいのです。
今、あなたがすべき具体的な対策
では、「来年の高騰がほぼ確実」という前提で、
今のうちにできる現実的な対策を、一緒に考えていきましょう。
ここでは、あなたの状況に合わせて選べるように、いくつかパターンで整理してみます。
パターン1:近いうちにPC買い替えを考えている人へ
もし、あなたが
- すでに5年以上前のPCを使っている
- Windows 10機で、Windows 11のサポートが不安
- 起動やブラウザが明らかに重くなっている
こうした状況なら、「来年まで待つメリットはかなり薄い」です。
おすすめの方針は、
- 今年〜年度内(できればセール期)に、メモリ16GB以上のモデルを確保
- SSDは最低512GB、できれば1TB
- CPUよりもメモリとSSD容量を優先して選ぶ
という“堅実路線”です。
「でも、新しいCPUが来年出るかも…」と悩むかもしれませんが、
実用上は
- メモリ不足でカクカクする
- SSD容量不足で常に整理が必要
こうしたストレスのほうが、CPU世代差よりよほど大きいです。
値段が上がる前に、「数年間ストレスなく使えるスペック」を押さえておくほうが、トータルで得をしやすいですよ。
パターン2:今のPCはそこそこ動くが、重さが気になってきた人へ
「買い替えまではいかないけど、最近ちょっと重いな…」
そんなあなたなら、まず検討したいのは「メモリ増設」です。
- デスクトップPC:増設しやすい、コスパも良い
- ノートPC:一部機種はメモリがオンボード(増設不可)なので要確認
まずは、以下をチェックしてみてください。
- 今のメモリ容量は何GBか
- 空きスロットがあるか/メモリが交換式か
- 対応しているメモリ規格(DDR4/DDR5など)
対応していれば、
- 8GB → 16GB
- 16GB → 32GB
へのステップアップは、体感差としてかなり大きいです。
来年以降、同じメモリキットが値上がりする可能性を考えると、「増設するなら今のうち」がひとつの判断材料になります。
パターン3:とにかく予算が厳しい人へ
「高騰が来るのはわかった。でも、今すぐ10万円以上は出せない…」
そんな場合もありますよね。
その場合の現実的な選択肢としては、
- 中古PC+メモリ増設という組み合わせ
- 型落ちの在庫処分・アウトレット機を狙う
- Chromebookなど、Windows以外の選択肢を一時的に使う
といったルートがあります。
特に、中古のビジネスPCは
- しっかりした筐体
- CPUもそこそこ高性能
- HDD→SSD換装+メモリ増設で一気に快適化
という“隠れた良品”が多いので、
信頼できるショップやメーカー直販アウトレットをうまく使うと、費用をかなり抑えられます。
ただし、
- あまりに古いCPU世代(第4世代Coreなど)は避ける
- Windows 11非対応機は、寿命を割り切って使う前提にする
このあたりの見極めは必要です。
「今は様子見したほうがいい」ケースはある?
ここまで読むと、「じゃあ今すぐ動かないと損なの?」と不安になってしまうかもしれません。
でも、落ち着いて考えると、「今は様子見でOK」というケースもあります。
たとえば、
- すでにメモリ16GB以上搭載の比較的新しいPCを持っている
- 体感的に特に不満はない
- 仕事や趣味で、近い将来に重いアプリを使う予定もない
こういう状況なら、「無理に買い替える必要はない」です。
むしろ、
- 不要な常駐ソフトを減らす
- ストレージの整理・クリーンアップ
- OSやドライバのアップデート管理
など、“メンテナンス”で現状のPCを長く快適に使うほうが、コスパは高くなります。
ただし、油断は禁物で、
- メモリ不足による動作の重さが頻繁に出始めた
- 新しいOSやアプリの要求スペックに届かなくなってきた
と感じたタイミングで、スパッと動けるように、「予算イメージ」だけは今のうちに決めておくのがおすすめです。
メモリ不足時代を生き抜く“PC選びの新基準”
ここまで読んで、「結局、どんなPCを選べばいいの?」と感じているかもしれません。
これから数年を生き抜くための“新基準”として、あえてシンプルにまとめてみます。
一般ユーザー(ネット・Office・動画視聴中心)
- メモリ:最低16GB
- SSD:512GB以上
- CPU:Core i5 / Ryzen 5クラス(世代は新しめならOK)
- 価格帯目安:10〜13万円前後(ノート)
クリエイター・配信・軽い動画編集をする人
- メモリ:最低32GB
- SSD:1TB以上(動画用に外付けも検討)
- CPU:Core i7 / Ryzen 7クラス
- 価格帯目安:15〜25万円前後
自作・ゲーミング志向の人
- メモリ:32GBを基本ライン、余裕があれば64GB
- SSD:OS用1TB+ゲーム/データ用1〜2TB
- GPU:用途に応じて(ゲーム・AI・DCCなど)
- メモリ規格:DDR5にシフトしつつあるので、今後の伸びしろも意識
ここでのキーワードは、
- 「CPUよりメモリ」
- 「最低ラインを8GBではなく16GBに引き上げる」
この2つです。
CPUの性能差は、日常用途では体感しづらいことも多いですが、メモリ不足はあからさまにストレスとして現れます。
これからの数年間を見据えるなら、「メモリをケチらない」が鉄則になるでしょう。
「買い時」に振り回されないために
パソコンって、いつも「今は買い時か?」という議論がつきまといますよね。
- 新しいCPUが出る
- 新しいGPUが出る
- 新OSが発表される
- 為替が動く、半導体が不足する
ニュースを追っていると、「もうちょっと待ったほうがいいかも」と感じてしまい、結局買いそびれる…ということもよくあります。
でも、実は一番大事なのは、
- 「自分がどんな作業を、どれくらい快適にしたいか」
- 「そのために、どれくらいのスペックが必要か」
- 「そのスペックが、今の価格で手に入るなら買う」
という、自分軸で考えることです。
今回の「メモリ不足で来年はパソコン高騰が確実」というテーマも、
最終的には
- 「必要なメモリを積んだPCが、今より高くなる可能性が高い」
- 「だから、必要だと感じているなら、先延ばししすぎないほうがいい」
という判断材料のひとつに過ぎません。
まとめ:メモリは“未来への保険”になる
ここまで、かなり長くお付き合いいただきました。
最後に、要点を“感覚的な言葉”で整理して終わりにしましょう。
- メモリは、机の広さ。狭い机では、どんなに頭が良くても効率は出ない
- AIブーム・スマホ・データセンターの三つ巴で、メモリは奪い合い状態
- 半導体工場は急に増やせないので、「不足→高騰」は当分続きやすい
- 円安やインフレが、日本のPC価格にさらに上乗せされる
- OSやアプリは年々「重く」「賢く」なり、必要メモリ量も増える一方
- だから、来年以降は「今より同じスペックのPCが高くなる」可能性が高い
つまり、「メモリに投資すること」は、
これから数年間の“快適さ”に対する、ある種の保険とも言えます。
- そろそろPCを買い替えたい
- 最近動作が重くてイライラする
- 子どもや家族用にも1台用意したい
もしあなたが、心当たりのある状況にいるなら、
「また今度にしよう」と先送りする前に、一度、具体的なモデルや構成をチェックしてみてください。
今ならまだ、「メモリをしっかり積んだ、バランスの良いPC」を、手の届く価格で選べます。
来年、「あのとき買っておけばよかった…」と後悔するくらいなら、
今日のうちに、1時間だけでも真剣に検討する時間をとってみる価値は、きっとあるはずです。

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