
こんにちは。今日は「レット症候群」という、ほとんど女児に発症する難病について、一緒に深く知っていきましょう。この病気はまだあまり知られていないかもしれませんが、実は国内にも多くの患者さんがいらっしゃいます。そして、この病気がどんな病気なのか、どのような症状があらわれるのか、どんな原因で起こるのか、さらに治療や社会的な支援はどうなっているのか、これから丁寧に見ていきますね。
レット症候群とは?
レット症候群は、生後6か月から1歳6か月頃の赤ちゃんに発症する発達障害の一種で、ほとんどが女の子に起こる病気です。その特徴は、これまで普通にできていた動作や言葉がだんだんできなくなってしまう「退行」と呼ばれる症状です。例えば、手を使って物を掴むことや、コミュニケーションのための言葉が急に消えてしまうことがあります。ちなみになぜ女児に多いのかと言うと、この病気の原因遺伝子がX染色体にあり、男性では致死的となるため女児にほぼ限定されているのが理由です。
症状の特徴と進行
レット症候群の子どもたちは、出生直後は普通に発達しますが、生後数か月で徐々に発症します。発症の初期には手の合目的運動(例えば手をねじる、こする)が消失し、言葉も話せなくなります。また、自閉症のような症状、呼吸障害、歩行の困難や筋緊張の異常など、さまざまな神経症状が現れます。これらの症状は進行性であり、完全な治療法はまだありませんが、早期の介入やリハビリなどで生活の質を向上させる努力が続けられています。
レット症候群の原因
この病気の主な原因は、「MeCP2」という遺伝子の変異によるものです。この遺伝子異常が神経の発達と機能に影響を与え、症状を引き起こします。遺伝性の病気ですが、ほとんどの場合は新しい突然変異によるもので、家族内に疾患の既往はありません。一部の患者さんではこの遺伝子の検査により確定診断が可能です。
日本でのレット症候群患者数
厚生労働省の調査によると、日本国内のレット症候群の患者数は約5000人と推定されており、20歳以下の患者さんは約1020人います。女児の発症率は1万人あたり約0.9人と、決して多くはないですが、それだけに医療や生活支援の充実が求められています。
治療と支援の現状
現在、レット症候群を根本的に治す治療法は確立されていません。しかし、症状の進行を遅らせるためのリハビリや、発作を抑える薬、呼吸管理、栄養補助などの対症療法が行われています。また、国の指定難病に認定されているため、医療費の助成や福祉サービスの利用が可能です。患者さんと家族を支える患者会や専門の医療機関も全国にあります。
どんな情報を親御さんは知っておくべき?
レット症候群と診断された時、ショックや混乱が大きいかもしれません。でも一緒にこの病気のことを理解し、適切な医療や支援を得ることが大切です。お子さんの成長や状況に応じて、専門医との相談や療育、リハビリを継続的に行うことが望まれます。また、支援団体や同じ病気の家族とのコミュニケーションも心の支えになります。
身近に感じにくい病気ですが、正しい理解が患者さんの生活を支える第一歩です。もしご自身やご家族に心配なことがあれば、早めに専門医に相談してみてくださいね。


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