介護老人保健施設(老健)と認知症ケアのすべて|家族が知っておきたい入所準備と選び方

豆知識
higejii(ひげ爺)
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「老健」という言葉、耳にはするけれど実際に中はどうなっているの?と疑問に思う方は多いはずです。老健は正式には「介護老人保健施設」と呼ばれ、自宅と病院の“あいだ”をつなぐ大切な場所です。

病院ほど医療色が強いわけではなく、特養ほど「終の住処」という印象でもない。リハビリを通して在宅復帰を目指すことが最大の目的であり、医師・看護師・介護職・リハビリ専門職などがチームになってケアを行う施設です。

そして近年、老健の利用者の多くを占めているのが認知症を持つ方々。つまり、老健は「リハビリ」だけでなく「認知症ケア」の拠点としても重要な役割を担っています。

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認知症患者にとって老健は安心できる場所か?

「認知症の母を老健に預けても大丈夫?」
「夜中に徘徊したり、食事を忘れてしまったりするけど、見てもらえるの?」

そうした不安を持つ家族は少なくありません。

老健には医師や看護師だけでなく、介護スタッフが24時間常駐しています。さらに、多くの施設がBPSD(周辺症状:怒りっぽさ、興奮、不眠など)に対応するケア体制を整えています。

例えば:

  • 夜間の徘徊に対する見守り体制
  • 食事・服薬のサポート
  • リハビリを通じた認知機能の維持・改善
  • 笑顔や会話を重視する心理的サポート

これらは在宅介護では家族に大きな負担となりがちですが、老健ではチーム体制で支えてくれるのです。

老健入所の流れと注意点

実際に利用を考えたとき、「どうやって入るの?」という疑問が出てきます。簡単に流れを整理すると――

  1. 介護認定を受ける(要介護1~5が対象)
  2. ケアマネジャーを通じて老健を探す
  3. 面談・見学で施設の雰囲気を確認
  4. 入所判定会議を経て利用決定

ここでポイントになるのは「見学」と「情報共有」です。認知症の症状は一人ひとり違います。家族だけで抱えてきたエピソードや注意点をきちんと伝えることで、入所後のケアの質が変わってきます。

費用はどれくらい?

老健の費用はおおむね1か月 8万円〜15万円前後 と言われます。医療ケアやリハビリ付きでこの水準は、特養やグループホームに比べて「中間的な負担」と言えます。

ただし、個室か多床室か、自費負担のリハビリを追加するかどうかで数字は変わります。また、所得に応じて「介護保険負担限度額認定証」を申請すれば、食費や居住費の軽減も可能です。

家族の負担はどう変わる?

認知症介護の大変さは、家族が一番よく知っていますよね。夜眠れなかったり、同じことを何度も聞かれたり、時には感情的に怒られることも…。

老健を利用することで、こうした「常時見守りが必要な時間」をプロに任せられるようになります。家族は面会や行事参加を通じて「一緒に寄り添う」形にシフトできるのです。

「介護を丸投げ」ではなく、「介護をシェアする」感覚。これが老健利用の大きなメリットです。

老健を選ぶときに見るべき3つのポイント

  1. 認知症ケアの実績
     → 認知症ユニットや専門スタッフ配置の有無を確認しましょう。
  2. リハビリ環境
     → 理学療法士・作業療法士の人数、週の訓練回数が重要です。
  3. 雰囲気
     → 見学時、利用者が笑顔でスタッフと会話しているかどうか。これが一番のチェックポイントです。

読者への問いかけ

あなたの大切な家族にとって、どんな老後が安心だと思いますか?
「自宅で看るべきか」「老健を頼るべきか」――その答えに正解はありません。

ただひとつ言えるのは、老健は**認知症の方にも安心して過ごせる“支えの場”**であり、家族にとっても“心の休息”を与えてくれることです。

もし今、介護に悩んでいるなら、まずは一度、最寄りの老健に見学の予約をしてみませんか? そこから介護の新しい選択肢が見えてくるはずです。

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