
「介護保険があるから安心でしょ」と思っている方も多いかもしれません。
でも実際に介護の現場に立ってみると、多くのご家庭が口をそろえてこう言います。
「結局、介護保険だけじゃ足りないんです。」
この記事では なぜ介護保険だけでは限界があるのか、そして どうして介護保険外サービスを使わざるを得ないのか を、わかりやすくお話していきます。もしかすると、近い将来ご自身やご家族が直面する現実かもしれません。
介護保険は「最低限の生活保障」
まず押さえておきたいのは、介護保険は“必要最低限のサービス”を保障する制度であるということです。
例えば、要介護認定を受ければデイサービス、訪問介護、福祉用具の貸与などを1~3割負担で利用できます。
とてもありがたい制度ではありますが、一つ問題があります。
それは「介護保険でカバーされる範囲が限られている」ということです。
具体例
- 掃除や洗濯も“生活援助”として認められるのは一部だけ
- 日常的な買い物や付き添い外出は対象外
- 病院への送迎も基本的には出来ない
- 24時間の見守りや夜間対応はカバーされない
つまり、介護の実際のニーズと保険で賄えるサービスの間に、大きなギャップが生まれているのです。
家族が背負う「保険外」の現実
このギャップを埋めるために、多くの家庭では「介護保険外サービス」に頼らざるを得ません。
たとえば……
- 外出付き添い:買い物や通院に同行してくれるサービス(自費)
- 家事代行:料理や細かな掃除をお願いする(自費)
- 看取り支援:夜間の見守りや緊急対応は自費になる場合が多い
- 施設での追加料金:紙おむつ代、レクリエーション費、食費、個室利用料など
「えっ、こんなに別料金がかかるの?」と驚かれる方も少なくありません。実際には要介護者の生活を守るためには、この“保険外”に手を伸ばさざるを得ない状況が日常化しているのです。
介護保険外サービス費用の現実
例えば、ある在宅介護を行っている家庭のケースを見てみましょう。
- 訪問介護(介護保険適用):月8,000円程度(1割負担)
- デイサービス(介護保険適用):月15,000円程度(1割負担)
- 追加家事代行(自費):月20,000円
- 通院付き添い(自費):月10,000円
- 夜間見守り(自費):月30,000円
合計すると、介護保険を使っても実際には5万円以上の自費出費になることがあります。特に独居高齢者の場合は、家族が日常的にフォローできないため、どうしても保険外に頼る機会が増えていきます。
保険外サービスを選ぶ葛藤
「お金はかかるけど、親の安全のために仕方ない」
「自分が全部はできないからサービスに頼るしかない」
多くの家族がこうした葛藤を抱えています。
介護保険制度は国の安心の仕組みなのに、 現実には“お金の余裕がある家庭ほど手厚い介護を受けられる” という格差すら生まれているのです。
今後どうなる?制度の課題
高齢化が進み、介護ニーズはますます増えています。一方で財源には限りがあり、介護保険の利用者負担は今後さらに増える可能性が高いと言われています。
- 現状:1~3割負担
- 将来:2割負担への引き上げ拡大、サービス削減の議論も
つまり将来は、ますます 「介護保険外サービスに頼るしかない現実」 が深刻化していくと考えられます。
それでも前を向くために
では、私たちはどうすれば良いのでしょうか。
- 地域のサービスを調べる
市町村やNPOが提供する安価なサポートがある場合があります。 - 民間サービスを賢く比較
料金・内容ともに幅広いため、複数サービスを見比べて検討しましょう。 - 家族で介護について話し合う
いざというときに備えて「どこまで介護保険で賄えるか」「保険外でどれを利用するか」を共有しておくことが大切です。 - これからの制度に関心を持つ
介護は国全体の課題です。選挙や地域の声を通じて制度改善を後押しすることも重要です。
読者への問いかけ
あなたやご家族がもし介護と向き合うことになったら、介護保険だけで本当に安心できるでしょうか?
現場では「仕方なく」保険外サービスを使わざるを得ない状況が広がっています。
けれども、それを正しく理解して備えておくことが、結果的に介護を少しでも楽に、前向きにしてくれるはずです。
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