日本で通り魔殺人急増～対策は？

通り魔殺人とは何か？

通り魔殺人とは、加害者が面識のない不特定多数の人を無差別に襲う凶悪犯罪です。動機がはっきりしないことが多く、「誰でもよかった」「世間の注目を集めたかった」など、理解しがたい理由で犯行に及ぶケースが目立ちます。

日本で通り魔殺人は増えている？

「通り魔事件が増えている」と感じるのは、決して気のせいではありません。警察庁の統計によると、1994年以降、通り魔殺人は毎年発生しており、2020年までに全国で179件（未遂含む）が確認されています。また、法務総合研究所のデータでは、通り魔殺人事件の平均認知件数は年6.5件、多い年には10件以上にも上ることがあるそうです。

近年の特徴としては、繁華街や駅前、商業施設など人が多く集まる場所での発生が目立ちます。2025年1月には長野駅前で3人が刺される事件が発生し、犯人は被害者と面識がなく、無差別に襲ったとみられています。こうした事件が繰り返し報道されることで、社会全体に不安が広がっています。

なぜ通り魔事件が増えているのか？

通り魔事件が増加する背景には、さまざまな社会的要因が指摘されています。

• ストレス社会と孤立感
  現代社会はストレスが多く、孤独や疎外感を抱える人が増えています。こうした心理的な追い詰められた状態が、突発的な犯罪の引き金になることがあります。
• 模倣犯の存在
  大きく報道された通り魔事件を模倣する「模倣犯」も後を絶ちません。SNSやネットニュースで詳細な手口が拡散されることで、犯罪が連鎖的に発生するリスクも高まっています。
• 精神的な問題や社会的支援の不足
  加害者の中には、精神的な疾患を抱えていたり、社会的なサポートを受けられないまま孤立していたケースも少なくありません。

通り魔事件が発生しやすい場所と時間帯

通り魔事件は「夜道」だけでなく、日中の人通りの多い場所でも発生しています。特に以下のような場所・時間帯は注意が必要です。

• 駅前や繁華街、ショッピングセンターなど人が集まる場所
• 通勤・通学時間帯
• 休日やイベント開催時

つまり、「人が多いから安全」とは限らないのです。

私たちにできる対策は？

「いつ、どこで起きるか分からない」通り魔事件。完全に防ぐことは難しいですが、被害を最小限に抑えるためにできることがあります。

1. 周囲への注意を怠らない
音楽を聴きながら、スマホを見ながら歩く「ながら歩き」は危険です。五感を研ぎ澄ませ、異変を感じたらすぐにその場を離れる習慣をつけましょう。

2. 避難場所を事前に確認
通勤・通学ルートやよく行く場所で、交番やコンビニ、スーパーなど、いざという時に逃げ込める場所を把握しておくと安心です。

3. 防犯グッズの携帯
防犯ブザーやホイッスルは、周囲に危険を知らせるのに有効です。特に女性や子どもは、日常的に持ち歩くことをおすすめします。

4. 事件発生時の行動
・通り魔が現れたら、まずは一目散に現場から離れる
・通り魔の視界に入らないように身を隠す（柱や商品棚の陰など）
・走って逃げると目立つ場合は、後ずさりしながら距離を取る
・助けを求める場合は「助けて！」ではなく、「警察を呼んでください！」と具体的に叫ぶ

5. 防犯意識を高める
「もしここで通り魔事件が起きたら？」と日頃からシミュレーションしておくことで、いざという時に冷静に行動できます。

家族や子どもを守るために

家族や子どもにも、防犯意識を持たせることが大切です。

• 子どもには「知らない人についていかない」だけでなく、「危険を感じたら大声で助けを呼ぶ」「近くのお店や大人に助けを求める」など、具体的な行動を教えておきましょう。
• 家族で「防犯ブザーの使い方」や「避難場所の確認」を一緒に行うと安心です。

社会全体でできること

通り魔事件を未然に防ぐには、社会全体で孤立した人へのサポートや、精神的なケアの充実も欠かせません。地域のつながりや見守り活動、相談窓口の拡充など、一人ひとりができることを考えていく必要があります。

まとめ

通り魔殺人は、私たち誰もが被害者になり得る現代の大きな脅威です。しかし、日頃から防犯意識を高め、具体的な対策を知っておくことで、被害を最小限に抑えることができます。自分や大切な人を守るために、今日からできることを始めてみませんか？

もしも異変を感じたら、ためらわずにその場から離れる勇気を持ちましょう。そして、社会全体で孤立や不安を抱える人を見守る温かい目も忘れずにいたいものです。