
「NISA(ニーサ)」という言葉を、テレビやネットで見かけることが多くなりました。
しかし、「なんとなく聞いたことはあるけれど、じつはよくわかっていない」という方も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、小学生の方にもイメージできるように、できるだけむずかしい言葉を使わずに、NISAの仕組みを順番にご説明していきます。
大人の方が、お子さんにNISAを説明する際のガイドとしてもお使いいただける内容です。
NISAってそもそもなに?
まずは、いちばん大事な問いから始めます。「NISAって、いったい何なのでしょうか。」
NISAとは、「投資でえた利益にかかる税金を安く(ゼロに)してくれる特別な箱」のような制度です。
ふつう、日本では株や投資信託などでお金がふえたとき、その利益に対しておおよそ20%ほどの税金がかかります。
たとえば、投資で10万円もうかったとすると、そのうち約2万円は税金でひかれてしまい、手元にのこるのは8万円くらいになります。
NISAを使うと、この「もうかった分」に対する税金が、きまった上限の金額までゼロにしてもらえる、というイメージです。
ここで、子どもにもわかるたとえ話をしてみましょう。
あなたが、おこづかいを「おかし貯金箱」に貯めているとします。ふつうの貯金箱に入れると、ふえたお金の一部は「税金くん」にとられてしまいます。
ところが、「NISA貯金箱」に入れると、ふえたぶんについては「税金くん」が手を出してこない、というイメージです。
もちろん、実際の制度はもう少し細かい決まりがありますが、大まかなしくみはこのように考えるとつかみやすくなります。
どうして国はNISAをつくったの?
つぎに、「なぜそんなおトクなしかけを国が用意してくれているのか?」という点を考えてみましょう。
日本では、長いあいだ「貯金がいちばん安心」という考え方が強く、銀行にお金をあずける人が多くいました。
ところが、銀行の金利がとても低い時期が続き、預けていてもお金があまりふえない状況になっています。
一方で、物の値段(物価)は少しずつ上がっていくため、ただ貯金しているだけでは、将来にそなえる力が弱くなってしまうおそれがあります。
そこで国は、「少しずつでも投資をして、お金を育てていく人をふやしたい」と考え、投資のハードルを下げるための制度としてNISAをつくりました。
もう少し身近なたとえで見てみましょう。
貯金は「お金をタンスにしまっておく」イメージです。タンスの中のお金は、数は減りませんが、ふえることもほとんどありません。
投資は、「お金に働いてもらう」イメージです。会社や投資信託にお金を預けて、その会社ががんばって利益を出すと、お礼としてお金がふえます。
国は、「お金に少しでも働いてもらったほうが、みんなの将来の生活が安定する」と考え、その後押しとして税金を軽くするNISAを用意しているわけです。
NISAの基本のしくみをやさしく整理
ここからは、NISAの基本的なルールを、小学生にも伝えやすい形で整理していきます。
制度の細かい数字は変わることもありますが、ここでは「考え方の土台」をつくることをめざします。
(1) NISAは「特別な口座」
まず、NISAを使うには、証券会社や銀行などで「NISA専用の口座(こうざ)」をつくる必要があります。
口座とは、「お金の出入りを記録するための名札のついたお金箱」のようなものだと考えてください。
ふつうの口座で投資すると、利益に税金がかかりますが、NISA口座の中で買った金融商品については、利益に税金がかからないという違いがあります。
つまり、「どのお金箱を通して投資するか」で、税金の扱いが変わるということです。
(2) 投資できる金額には「上限」がある
NISAは、とても大きな金額を自由に投資していい制度ではありません。
「1年間にこれくらいまでなら、税金をゼロにしますよ」という上限がきめられています。
この上限の範囲の中で、毎月少しずつ投資していく、という使い方をする人が多いです。
小学生に説明するなら、「NISA貯金箱は、1年間に入れられるお金の量が、あらかじめきめられている特別な貯金箱」と伝えるとイメージしやすくなります。
(3) 買える商品は「株」や「投資信託」など
NISA口座の中で買えるのは、たとえば次のようなものです。
- 企業の株
- 投資信託(たくさんの株や債券をつめあわせた商品)
- 一部の上場投資信託(ETF)など
ただし、「なんでも自由に」というわけではなく、NISAのルールでえらばれた商品だけが対象になります。
とくに、初心者向けの「つみたて投資」に使う場合は、長期の積立に向いた投資信託が中心です。
小学生には、「いろいろな会社の株を少しずつ集めて入れてある『おかずセット』みたいな箱が、投資信託だよ」と説明すると伝わりやすくなります。
投資ってこわくないの?リスクとリターン
NISAの話をするとき、かならずふれておきたいのが「投資にはリスクがある」という事実です。
どんなにやさしく説明しても、「絶対にもうかる魔法の仕組み」ではないことを、最初にしっかり押さえておく必要があります。
(1) お金がふえることも、へることもある
投資とは、「お金を使って、将来もっとお金がふえるかもしれない可能性にかけること」です。
会社の業績がよくなったり、世界の経済が成長したりすると、投資している商品の値段が上がることがあります。
その結果、持っている株や投資信託の値段がふえれば、利益が出ます。
しかし逆に、会社の業績が悪くなったり、景気が悪くなったりすれば、値段がさがって損をすることもあります。
小学生向けにたとえるなら、「みんなで育てる野菜の畑」を思い浮かべてもらうとわかりやすくなります。
天気がよく、みんなでしっかり水やりやお世話をすれば、野菜がたくさんとれてうれしい結果になります。
しかし、台風や病気など、思わぬことがおこると、せっかく育てた野菜があまりとれないこともあります。
投資も同じように、「がんばっても、うまくいかないこともある世界」であることを、ていねいに伝えていくことが大切です。
(2) リスクを小さくする「長期・分散・積立」
とはいえ、リスクがあるからといって、何も行動しないのが最善とはかぎりません。
投資の世界では、「長期・分散・積立」という考え方をつかうことで、リスクを小さくしながらコツコツとお金をふやしていく方法がよくえらばれます。
- 長期:短い期間だけでなく、10年、20年と長くつづけること
- 分散:1つの会社だけにかけず、たくさんの会社や国に分けて投資すること
- 積立:毎月同じ金額をコツコツと買い続けること
小学生への説明では、「1回でまとめて買うのではなく、おこづかいの中から毎月すこしずつ、いろいろな会社のセットを買っていくイメージ」と伝えると理解が進みます。
NISAは、こうした「長期・分散・積立」の投資スタイルととても相性がよい制度です。
NISAのメリットを小学生向けに整理
ここでは、NISAを使うことでえられるメリットを、子どもにも伝えやすい言葉におきかえて整理してみます。
(1) もうかった分に税金がかからない
いちばん大きなメリットは、「投資でふえたお金に対して、一定の条件のもとで税金がかからない」ことです。
さきほどの例のように、ふつうなら10万円の利益が出ると約2万円が税金でひかれますが、NISAの範囲内なら、その2万円をそのまま自分のために残せます。
小学生に説明するなら、「ふつうの貯金箱だと、おかしを2つ税金くんに取られるけれど、NISA貯金箱だと、取られずに自分で食べられる」というイメージです。
この差が、何年も積み重なると、将来の合計金額に大きな違いを生むことがあります。
(2) 少ないお金からでもスタートできる
NISAは、「お金持ちだけの特別な制度」ではありません。
証券会社によってちがいはありますが、月々数千円からの積立投資でも利用できることが多いです。
「いきなり大きなお金を出すのではなく、おこづかいを少しずつ投資にまわす」という感覚で考えると、ハードルが下がります。
ここで大事なのは、「金額の大きさよりも、長く続けること」のほうが将来にとって意味がある、という視点です。
NISAのデメリットや気をつけたいこと
メリットだけでなく、デメリットや注意点もいっしょに伝えることで、よりバランスのとれた理解がえられます。
(1) 元本保証ではない
銀行預金とはちがい、NISAで投資したお金は「必ず元の金額がもどってくる」とはかぎりません。
投資した商品によっては、数年後に見てみたら、最初に入れた額よりも少なくなっていることもあります。
小学生には、「ゲームでいい点数を出せるときもあれば、思ったより低い点のときもある」というように、結果がつねに一定ではない世界だと伝えるとよいでしょう。
この点をあいまいにせず、きちんと話しておくことが大切です。
(2) すぐに使う予定のお金には向かない
NISAは、「長い時間をかけてお金を育てるための制度」です。
そのため、1年後や2年後にすぐ使う予定が決まっているお金を全部NISAに入れてしまうのは、あまりおすすめできません。
たとえば、「来年の学費に使うお金」や「近いうちに必要になる生活費」などは、基本的には銀行預金として安全にとっておくほうが安心です。
小学生にも、「すぐに使うおこづかいは手元の財布、将来のためのお金はNISA貯金箱」というように、分けて考える習慣を伝えられるとよいでしょう。
小学生にどうやって教える?具体的な話し方のコツ
ここからは、実際に小学生にNISAを説明するときの、具体的な伝え方の工夫をご紹介します。
親御さんや先生が子どもと会話するときの参考にしていただければ幸いです。
(1) 「貯金」と「投資」のちがいから始める
いきなり「NISA」というカタカナから入ると、子どもは身構えてしまいます。
まずは、つぎのようにシンプルなところから始めてみてください。
- 貯金:お金を安全な場所にしまっておくこと。あまりふえないけれど、減りにくい。
- 投資:お金を会社などにあずけて、その会社ががんばるとお金がふえる可能性があること。
この違いがイメージできたら、「投資でお金がふえたときには税金がかかるけれど、その税金を特別にゼロにしてくれる制度がNISAだよ」と続けるとスムーズです。
文章だけでなく、ノートに簡単な図や絵をかいてあげると、さらに理解しやすくなります。
(2) ポイントは3つだけにしぼる
子どもに説明するときは、情報をつめこみすぎないことも重要です。
NISAについて伝えるポイントを、つぎの3つにしぼって話してみてください。
- 投資でふえたお金にかかる税金をゼロにしてくれる制度であること
- 1年に使える金額に上限があること
- お金がふえることもあれば、へることもあること(リスク)
この3点が頭に入れば、NISAの大きな枠組みは理解できています。
細かい数字や期間などは、あとから大人が補足していけば十分です。
(3) 「将来の夢」とセットで話す
お金の話だけを切り離して考えると、子どもにとってはピンときにくい場合があります。
そこで、「将来の夢」といっしょに語ることをおすすめします。
たとえば、次のような会話です。
- 「将来、どんな仕事をしてみたい?」
- 「その夢のために、勉強や道具、お金がどんなふうに必要になりそう?」
- 「そのときに困らないように、今から少しずつお金を育てておく方法のひとつが、NISAなんだよ」
このように、「お金」はあくまで夢や目標をかなえるための手段だという視点をわすれずに話すと、前向きな印象でNISAを理解してもらいやすくなります。
NISAを使い始めるまでのおおまかな流れ
最後に、「実際にNISAを使ってみよう」と思ったときの大まかな流れを、やさしく整理しておきます。
ここでは、保護者の方がご自身のNISAを始めるケースを想定しています。
- 証券会社や銀行をえらぶ
サービス内容や手数料、ウェブ画面の見やすさなどをくらべ、自分に合いそうな金融機関を選びます。 - NISA口座を申しこむ
本人確認書類などを用意して、インターネットや店頭から申し込みます。 - NISAで買う商品をえらぶ
投資信託や株などの中から、自分の目的やリスクのとり方に合った商品を検討します。 - 積立設定などをおこなう
毎月いくら投資するか、どの商品を買うかを決め、自動で積み立てる設定をしておきます。 - 長い目で見守る
価格の上下に一喜一憂しすぎず、長期的な視点でコツコツと続けていきます。
小学生といっしょに勉強する場合、大人の方が自分のNISA口座で少額の積立をしてみせ、その経過をいっしょに確認していくのも良い学びになります。
「今月は少しふえたね」「こんなニュースがあったから下がったのかもしれないね」といった会話を通して、世の中の動きとお金のつながりを学べます。
おわりに:NISAは“お金の教室”にもなる
NISAは、税金の面でおトクな制度であると同時に、「お金と社会のつながりを学ぶための教室」のような役割もはたします。
小学生のうちから、貯金と投資のちがいや、お金が社会の中でどのように動いているのかを知ることは、将来の大きな財産になります。
もちろん、投資にはリスクがあり、「必ずもうかる」わけではありません。
だからこそ、あわてずに少しずつ学び、無理のない範囲で長くつきあっていく姿勢が大切です。
本記事が、NISAを「むずかしいカタカナ」から、「小学生にも説明できる身近なテーマ」へと変える一助となりましたら幸いです。


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