
「物忘れが気になる…」
「両親の介護を見ていて自分の将来が不安…」
そう感じたことはありませんか?
実は近年、キノコの摂取と認知症リスクの低下に関する研究結果が次々と発表されています。「単なる健康ブームではないか?」と思う方もいるかもしれませんが、ここ数年の医学的エビデンスは非常に興味深いものです。
世界が注目する「キノコと認知機能」の研究
シンガポール国立大学のコホート研究(2019)
2019年に Journal of Alzheimer’s Disease に掲載された研究によれば、週に2回以上キノコを食べる高齢者は、食べない人に比べて軽度認知障害(MCI)を患うリスクが約50%低下していたと発表されています。
研究対象:約600人のシンガポール在住高齢者(60歳以上)
追跡期間:約6年間
結果:週2回以上キノコを摂取した群=MCIリスクが有意に低下
この研究をきっかけに、世界的に「キノコと脳機能」の関係が注目されるようになりました。
エルゴチオネイン(ET)の役割
上記研究で特に注目されたのが、キノコ特有のアミノ酸「エルゴチオネイン(ET)」です。
- 強力な抗酸化・抗炎症作用
- 神経細胞を酸化ストレスから保護
- ヒトは体内で合成できず、食事からのみ摂取可能
シンガポール国立大学の別研究(2016, Biochemical and Biophysical Research Communications)では、血中ET濃度の低い高齢者は認知機能低下のリスクが高まることが示されました。
つまり、キノコを食べる=ETを補給するという点で、認知症予防に直結する可能性が高いのです。
日本における研究データ
日本でも「きのこ摂取と健康寿命」の研究が進んでいます。国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC Study, 2020発表)では、キノコを多く食べる人ほど死亡リスク(特に循環器系の疾患リスク)が低いことが報告されています。循環器疾患がアルツハイマー型以外の認知症リスク要因になることから、間接的ながら認知症予防とのつながりが考えられています。
認知症予防に効果的なキノコの種類
- しいたけ:紫外線に当てるとビタミンDが増加。ビタミンDは認知症発症リスク低下と相関あり(Harvard School of Public Health, 2014)。
- まいたけ:βグルカン豊富で免疫機能を調整。炎症抑制はアルツハイマーの進行に有効と考えられる。
- えのきたけ:エルゴチオネイン含有量が高く、抗酸化力に優れる。
- エリンギ:食物繊維による腸内環境改善。脳腸相関を通じて情動や認知機能に好影響。
- ぶなしめじ:ポリフェノール類を含み血流改善に寄与。脳血管性認知症の予防にも期待。

推奨摂取量と実践的工夫
各研究から見えてくる目安は、1日50〜100g程度のキノコを週2〜3回以上摂取すること。
実生活での取り入れ方:
- まとめ買いして冷凍すると旨味と栄養価が増す(エルゴチオネインも安定)。
- 朝食の味噌汁に少量ずつ加えることで習慣化。
- 複数の種類をブレンドして炊き込みご飯にする。
認知症予防は食習慣のトータルバランス
キノコは強力なサポート食品ですが、それだけに依存してはいけません。米国アルツハイマー協会(Alzheimer’s Association)の推奨する「MIND食」(地中海食とDASH食を融合した食事法)でも、野菜、果物、オリーブオイル、魚、全粒穀物といった食材と並び、“マッシュルーム”は健康食品群に含まれると評価されています。
つまり、
- キノコを含む多様な植物性食品
- 適度な運動
- 良質な睡眠
- 社会参加や頭を使う活動
といった多方面のアプローチを組み合わせることで、認知症の発症リスクをより確実に減らすことができます。
最後に:今日からできる「脳を守る一皿」

例えば、今日の夕食に「きのこの味噌汁」や「まいたけソテー」を加えるだけで、数年先の脳の健康が変わるかもしれません。
医学研究も進み、エビデンスの裏付けも得られつつある今こそ、日々の生活にキノコを取り入れる価値があります。
「未来の自分」や「大切な家族」のために、あなたの脳を食卓から守ってみませんか?
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