建設・物流業界が崩壊する日──人手不足の先にある「構造的危機」とは

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建設・物流業界:人手不足だけではない崩壊のシナリオ。

higejii(ひげ爺)
higejii(ひげ爺)

もしあなたが今、建設現場や物流倉庫の仕事に関わっていたら、きっと感じているはずです。
──「人がいない」「現場が回らない」「若い人が来ない」。

でも、本当に今の問題は「人手不足」だけでしょうか?
実は、それは“症状”に過ぎません。
本当に怖いのは、その裏に潜む「構造的な崩壊」のシナリオです。

ここから先は、建設・物流業界の現場を知るあなたに、心から語りかけたいと思っています。

「2024年問題」は通過点でしかない

2024年問題──この言葉をニュースで何度も聞いた人も多いでしょう。
トラックドライバーの残業規制、建設業の時間外労働上限制限。
これらは「働き方改革」の名のもとに導入されましたが、現実は理想とは程遠いものでした。

人を守るはずの法律が、皮肉にも“現場を壊す方向”に向かっているのです。

例えば、トラックドライバーの拘束時間が短縮されることで、1人あたりの輸送量は減ります。
しかし、代わりの人材は入ってこない。
結果、納品スケジュールは詰まり、荷主と運送会社の板挟みが起きる。

建設業でも同様です。
時間外労働の制限が強まることで、現場は「終わらない工期」に苦しみます。
元請はプレッシャーを下請けに押し付け、下請けはさらに末端に――。
結局「働き方改革」が「仕事量改革」にはつながらなかったのです。

50代が支える現場、20代が消えた職場

もう一度、現場の“顔ぶれ”を思い出してみてください。
今、建設も物流も中心になって動かしているのは、40代・50代、それ以上の世代です。
20代が数人いるような現場は、むしろ珍しい。

若者が来ないのは単に「体力的にきつい」からだけではありません。
・将来の給料が上がりにくい
・結婚・子育てと両立しづらい
・社会的評価が低い

この3つの壁がある限り、どれだけ募集しても人はやってきません。
実際、求人サイトに出ている「月収35万円」「未経験歓迎」という言葉の裏側には、
“1日12時間労働、休み週1、社会保障ギリギリ”という現実が隠れている場合もあります。

新技術・AIの導入で「救われる人」と「切り捨てられる人」

多くの企業が「AI」や「自動化」「遠隔施工」を導入し始めています。
確かに技術はすばらしい。
ドローン測量や自動搬送ロボットで効率化は進むでしょう。

しかし、その反面で新たな格差も生まれます。

AIを扱える人材は重宝される一方、従来のやり方しか知らないベテランは
「コスト」として扱われ始めているのが現場の空気。

つまり、AI化は「人を減らす解決策」ではなく、
「人の選別を進めるテクノロジー」になりつつあるのです。

業界に“デジタル格差”が広がるほど、地方・中小企業は立ち行かなくなります。
すると、その地域のインフラ維持そのものが危うくなる。
AI導入が進むほど、人間が抜けていくという皮肉な現象です。

元請・下請構造が崩壊を招く

“建設業界の七不思議”のひとつが、
「仕事は多いのに儲からない」という現象です。

現場の最前線で汗を流すのは下請け・孫請け。
しかし利益の大半は、上層の元請会社が持っていく。

これは物流業でも同じ構図です。
ECが拡大し、配送需要は過去最高なのに、ドライバーの賃金はほとんど上がらない。
理由は単純。荷主企業が運賃を上げないからです。

業界の構造そのものが“安く使うこと”を基準に組み立てられているのです。

もしこの構造を壊せないままAIや外国人労働者に頼り続ければ、
いずれ「日本の現場」が海外資本に握られる未来が待っています。
もうそれは、始まりつつあるのかもしれません。

外国人労働者という“延命措置”

技能実習や特定技能の制度で、多くの外国人が現場を支えています。
彼らの存在なしに工事も配送も成り立たない、という声も多い。

しかし、この仕組みは“延命措置”にすぎません。

なぜなら、彼らもまた「より条件の良い国」へ流れてしまうからです。
日本の円安、低賃金、長時間労働では、もはや魅力的な職場には映らない。

“外国人に頼ること”で一時的に人数は埋まっても、
本質的な改革──産業構造の転換や待遇改善──は何ひとつ進んでいません。

社会インフラが止まる「次の危機」

思い出してください。
2024年末、物流の遅延がニュースになった時、
多くの人が「まさか」と思ったはずです。

でも、それは“序章”です。

このままでは、
・住宅建設の遅延
・物資の配送遅れ
・災害復旧の停止
といった「社会インフラの停止」が、現実になります。

災害大国・日本で、建設・物流業界が機能しなくなる──
これは単なる経済問題ではなく、「国家危機」とも言える状況です。

“人が働きたくなる業界”を取り戻すには

では、どうすればいいのか。
結論から言えば、「利益の分配構造」を変えることと、「職業の魅力」を見直すことです。

今のように、上層が利益を独占する構造では、どんな施策も持続しません。
末端で働く人たちが正当に評価され、
時間と誇りを持てる仕組みを作らなければ、人は戻ってこない。

また、教育現場での「職業イメージ」も大切です。
建設や物流の仕事は“汗臭い”ではなく、“日本の根幹を支える誇り高い職業”だと
子どもたちが感じられるようにならなければ、希望者は増えません。

次の時代の“現場力”とは

結局のところ、どれだけ技術が進化しても、
現場を支えるのは「人の判断」と「責任」です。

AIが図面を描いても、ドローンが運んでも、
最後の決断を下すのは人間。

それこそが「現場力」であり、
この国の建設・物流業界の強みでもあります。

だからこそ、現場の人が“報われる仕組み”を作るために、
政治・企業・市民が同じ方向を向く必要があります。
補助金や規制だけでなく、
「現場への尊敬」を社会全体で取り戻すことが、再生の第一歩です。

終わりに──これは、崩壊ではなく再生のチャンス

「崩壊のシナリオ」と聞いて、悲観的に感じたかもしれません。
でも、崩壊とは“新しい仕組みを生む前兆”でもあります。

いま日本の建設・物流業界は「限界点」に立たされています。
けれど、それは「変わるきっかけ」でもあるのです。

人手不足を“終わりのサイン”ではなく“変革の合図”として捉えたとき、
この業界は再び日本の柱になります。
あなたが、その変化の担い手になるかもしれません。

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