はしかで免疫がリセット?その意味を知っていますか

「はしかが治って一安心」と思っていませんか?
実は、はしか(麻疹)に感染すると、治った後でも体の中では“ある大きなリスク”が残ってしまうことが、近年の研究で明らかになっています。
それが「免疫リセット現象」と呼ばれるもの。つまり、はしかが原因で、それまでに体が覚えていた免疫の記憶が“消えてしまう”のです。
たとえば、あなたが過去に風邪をひいて免疫がついたり、ワクチンで予防できていた病気に対する免疫力が、一度のはしか感染でリセットされてしまう…。そんな恐ろしい仕組みが、本当に人間の体の中で起きているのです。
はしか(麻疹)とは何か
はしかは、麻疹ウイルス(Measles virus) による感染症で、空気感染によって広がります。感染力は非常に強く、同じ部屋にいただけでも感染することがあるほどです。
主な症状としては、
- 高熱(39~40度)
- 咳、鼻水、結膜炎
- 発疹(特に顔から体へ広がる)
などが見られます。特に小さな子どもや、免疫力の弱い人にとっては重症化のリスクが高く、肺炎や脳炎を併発するケースも珍しくありません。
「免疫リセット」が起こる仕組み
では、なぜはしかに感染すると、免疫がリセットされてしまうのでしょうか。
人間の免疫システムには「免疫記憶」と呼ばれる仕組みがあります。
これは、かつて感染したウイルスや細菌を覚えておくことで、再び同じ病原体に出会ったときに、すぐに撃退できるようにする機能です。
ところが、麻疹ウイルスにはこの免疫記憶を破壊する性質があります。
具体的には、麻疹ウイルスが体内に入ると、免疫の中心を担う「B細胞」や「T細胞」を感染・破壊し、過去の記憶データを上書きしてしまうのです。
その結果、
- 風邪、インフルエンザ、肺炎などの再感染リスクが上がる
- 予防接種していた病気にもかかりやすくなる
という影響が数か月〜数年単位で続くことがわかっています。
最新研究で明らかになった事実
オランダやアメリカなどの国際研究チームによる2019年の報告では、はしか感染後の子どもたちの血液を分析した結果、抗体の83%が失われていたことが確認されました。
これはつまり、「身体が今まで記憶していた過去の免疫の8割以上が失われる」ということ。まさに“体のリセットボタン”を押されたような状態です。
このとき、体は再び「免疫的に新生児のような状態」に戻ってしまうため、治った後でも風邪や他の感染症にかかりやすくなるのです。
実際にどんな影響があるのか
免疫リセットが起きた体では、次のような危険が潜んでいます。
- インフルエンザや風邪を繰り返す
- 肺炎や中耳炎が長引く
- 結核などに感染しやすくなる
- ワクチンで予防していた病気(百日咳・おたふく・風疹など)にも再感染する
つまり、「はしかが治ればすべて解決」というわけではなく、治った後こそ注意が必要なのです。
子どもが特に危険な理由
特に注意すべきは子どもです。
なぜなら、子どもの免疫システムはまだ完全に発達していないため、免疫記憶が消える影響を受けやすいからです。
さらに、子どもの場合、幼稚園や学校などで多くの人と接するため、感染リスクも高まります。はしかが再び流行したとき、免疫リセット後の子どもたちは複数の病気に同時感染する可能性もあります。
日本でも再び流行の兆し
かつて日本では、定期接種が普及して「はしかはほぼ撲滅状態」と言われた時期がありました。しかし、近年では海外からの帰国者や観光客を介した持ち込み感染が相次ぎ、再流行の兆しを見せています。
特に大阪や東京などの都市部では、2025年から2026年にかけて「麻疹の集団感染(クラスター)」が報告されています。
免疫を持たない若年層・中年層で広がりやすく、これが社会的な懸念となっています。
ワクチンが強力な防御壁になる
幸い、はしかには安全で有効なワクチンがあります。
日本では「MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)」として、1歳と小学校入学前の2回接種が推奨されています。
この2回接種を受けることで、約97%以上の予防効果が期待できます。
大人になってからも、免疫が残っていない可能性があるため、次のような人は抗体検査・再接種を検討したほうがよいでしょう。
- 1970年代後半〜80年代生まれの人
- 子どもの頃に1回しかワクチンを受けていない人
- 海外旅行や人と接する職業の人
感染を防ぐ生活習慣のポイント
ワクチンと合わせて、日常生活の中でもできる対策があります。
- 免疫力を下げないよう、十分な睡眠と栄養をとる
- 人混みや換気の悪い場所ではマスクを着用する
- 手洗い・うがいをこまめに行う
- 発熱や発疹が出たら、すぐに医療機関に相談する
特に、子どもがいる家庭では「家族全員の免疫の状態」をチェックしておくことが重要です。
はしかから体を守るためにできること
はしかが怖いのは、「その感染力」と「治った後のリスク」の両方があるからです。
免疫リセット現象は、本人が自覚しないうちに体の中で静かに進んでいきます。
だからこそ、大切なのは「予防の一歩を早めに踏み出す」こと。
ワクチン接種記録を確認し、大人でも必要であれば抗体検査を行いましょう。
そして何より、「治ったから安心」と思わず、回復後も体をいたわることが大切です。
まとめ:はしかの免疫リセットを防ぐには「予防」と「知識」
はしかによる免疫リセットは、私たちの体を“数年前の免疫ゼロ状態”に戻してしまう恐ろしい現象です。
しかし、正しい知識と予防でリスクは大きく減らせます。
「昔、はしかにかかったけどもう大丈夫」
「ワクチンは子どもの頃に受けた気がする」
――そう思っている方ほど、今こそ確認してほしいのです。
医療機関での抗体検査や再接種は、あなたと家族を守る最善の手段になります。
あなたの免疫力は、今どんな状態ですか?
一度、見直してみましょう。

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