第一種衛生管理者は、労働者の健康と安全を守るための重要な役割を果たします。具体的な業務内容は以下の通りです。
①作業環境の衛生管理
作業環境が衛生的で安全であることを確認し、必要に応じて改善策を提案します。
➁労働衛生教育の実施
労働者に対して、適切な衛生習慣や安全な作業方法についての教育を行います。
③労働者の健康管理
労働者の健康状態を管理し、健康診断の実施や病気・怪我の早期発見に努めます。
④健康の保持増進措置
労働者の健康を保つための各種措置を計画し、実施します。
また、労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の社員がいる会社には必ず衛生管理者を選任する必要があります。第一種衛生管理者は、農林水産業・鉱業・建設業・電気ガス水道業・熱供給業・運送業・自動車整備業・機械修理業・医療業・清掃業など、危険度合いの高い業種に設置される資格です。これらの業務を通じて、第一種衛生管理者は労働者の健康と安全を守り、労働災害の防止に努めます。
第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の主な違いは、業務を行うことのできる業種と試験内容です。
①業種
第一種衛生管理者は全業種で業務が行えます。特に、有害業務(人体に影響を及ぼすガスや粉末など)を含む業種(製造業、建設業など)でも業務が行えます。一方、第二種衛生管理者は有害業務を含まない業種(情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など)でのみ業務を行うことができます。
➁試験内容
第一種衛生管理者の試験では、有害業務に関する問題が出題されます。一方、第二種衛生管理者の試験では、有害業務に関する問題は出題されません。
これらの違いから、第一種衛生管理者の試験は第二種よりも難易度が高いと言われています。しかし、どちらの資格を取得するべきかは、個々の職場の業種や具体的な業務内容によります。例えば、有害業務を含む職場では第一種衛生管理者の資格が必要となります。一方、有害業務を含まない職場では、第二種衛生管理者の資格だけでも十分です。また、より専門的な衛生管理の知識を学びたい場合にも、第一種衛生管理者がおすすめです。
第一種衛生管理者および第二種衛生管理者の試験を受けるための主な要件は以下の通りです。
第一種衛生管理者
①学校教育法による大学(短期大学を含む)または高等専門学校を卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの。
➁学校教育法による高等学校または中等教育学校を卒業した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの。
③最終学歴に関係なく、労働衛生の実務に従事した経験が10年以上あるもの。
第二種衛生管理者
第二種衛生管理者免許試験に合格した者。
また、第一種衛生管理者の試験の合格点は240点以上、第二種衛生管理者の試験の合格点は180点以上となっています。
種衛生管理者の試験を受けるために必要な実務経験は、労働衛生に関する業務を一定期間行った経験を指します。具体的には以下のような業務が含まれます。
①健康診断実施に必要な事項又は結果の処理の業務
➁作業環境の測定等作業環境の衛生上の調査の業務
③作業条件、施設等の衛生上の改善の業務
④労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備の業務
➄衛生教育の企画、実施等に関する業務
➅労働衛生の統計の作成に関する業務
➆看護師又は准看護師の業務
➇労働衛生関係の作業主任者としての業務
⑨労働衛生関係の試験研究機関における労働衛生関係の試験研究の業務
⑩自衛隊の衛生担当者、衛生隊員の業務
⑪保健衛生に関する業務
⑫保健所職員のうち、試験研究に従事する者の業務
⑬建築物環境衛生管理技術者の業務
これらの業務を一定期間行っていた経験があることを、事業場代表者(社長、総務部長、支店長、工場長など)が「事業者証明書」を発行し証明することで、受験資格として認められます。
衛生管理者試験の合格率は、第一種衛生管理者試験の合格率が約45%、第二種衛生管理者試験の合格率が約53%となっています。ただし、これらの数値は過去のデータに基づいており、年度や試験内容の変更により変動する可能性があります。また、具体的な勉強方法や対策については、専門の教育機関や教材を活用することをお勧めします。
コメント