
「今週末、近くの川で釣りをしてみようかな」 「川底の穴にウナギがいそうだから、罠(わな)を仕掛けて獲ってみたいな」
そんなワクワクした気持ち、とてもよく分かります。自分の手で魚やウナギを捕まえるのは、宝探しのような楽しさがありますよね。
でも、ちょっと待ってください! 実は、海と違って「日本の川」で魚を釣ったり仕掛けを置いたりする時には、とても厳格なルール(法律や決まりごと)が存在します。
「誰の川でもないんだから自由でしょ?」と思って仕掛けを置いてしまうと、最悪の場合、警察に捕まったり、数十万円以上の罰金を支払うことになったりするケースもあるのです。
「知らなかった…」では済まされない川のルール。この記事では、初心者の方や中学生のみなさんでもしっかり理解できるように、順を追って分かりやすく解説していきます。
川へ出かける前に、ぜひ最後まで読んで安全で楽しい川釣りの準備を整えてみましょう!
なぜ川にはルールや決まりごとがあるの?
まず、「どうして川で自由に魚を獲っちゃいけないの?」という疑問からお答えしますね。
海にもルールはありますが、川は海と比べて「水の量が少なく、魚が逃げられる場所が限られている」という特徴があります。
もし、誰もが好きな時に、好きなだけ、強力な罠を使って魚を獲ってしまったらどうなるでしょうか? あっという間にその川の魚はいなくなってしまいますよね。
そこで、日本の川では次のような目的でルールが作られています。
- 魚の数を減らしすぎないため(自然保護・資源管理)
- 川を管理・整備するための費用を集めるため
- みんなが事故なく、喧嘩せずに川を利用するため
川の魚は「無限に湧いてくるもの」ではなく「みんなで守るべき命」です。だからこそ、ルールを守ることがとても大切なのです。
最も重要なルール「遊漁権(ゆうぎょけん)」と「遊漁券(チケット)」
川で釣りや仕掛けをする時に、絶対に知っておかなければいけない言葉が「遊漁権(ゆうぎょけん)」です。
「遊漁権」ってなに?
日本のほとんどの大きな川には、その川の魚を管理している「内水面漁業協同組合(漁協:ぎょきょう)」という組織があります。
都道府県は、この漁協に対して「その川の魚を管理し、増やす代わりに、釣りをしたい人から利用料をもらってもいいですよ」という特別な権利を与えています。この権利のことを「遊漁権」と呼びます。
漁協は何をしているの?
漁協はお金を儲けるためだけにルールを作っているわけではありません。
- 稚魚(魚の赤ちゃん)を川に放流する
- 川の清掃をして水質を守る
- 外来種(ブラックバスなど)が増えすぎないように管理する
私たちが川で楽しく魚釣りができるのは、漁協の人たちが日頃から川をお世話してくれているおかげなのです。
釣りをするなら「遊漁券(鑑札)」を買おう!
遊漁権が設定されている川で釣りやウナギ獲りをする場合、私たちは「遊漁券(ゆうぎょけん)」というチケットを購入しなければなりません。
- 日券(1日チケット): 数百円〜2,000円程度
- 年券(1年チケット): 数千円〜1万円程度
これは、釣具店や近くのコンビニ、最近ではスマートフォン(アプリ)で購入できる場所も増えています。チケットを買わずに無断で釣りをすると「密猟(密漁)」になってしまうので注意してください。
【ここがポイント!】 小さな小川や、漁協が存在しない一部の川では遊漁券がいらない場合もあります。しかし、「遊漁券がいらない=何をしても自由」という意味ではありません。都道府県ごとのルール(都道府県内水面漁業調整規則)は、どんな川であっても適用されます。
川でウナギを捕まえたい!どんな仕掛けがOKで、何がNG?
ここからは、特に質問の多い「ウナギの捕獲」について詳しく見ていきましょう。 ウナギは高級魚ですし、夜に川へ行って仕掛けを仕掛けるのはロマンがありますよね。しかし、ウナギは現在、絶滅が心配されているとても貴重な魚です。そのため、捕まえ方には非常に厳しいルールがあります。
あなたがやろうとしている仕掛けは大丈夫でしょうか?確認してみましょう。
〇 一般的に許可されている(OKになりやすい)捕まえ方
都道府県によって多少異なりますが、一般的に個人のレジャーとして認められやすいのは以下の方法です。
- 竿釣り(さおづり): 1人1本〜数本の竿を使って、針と糸とエサで釣る方法。
- 手釣り(てづり): 竿を使わず、手に糸を持って釣る方法。
- ウナギの穴釣り: 短い竿や金属の棒の先に針をつけ、川の石の隙間(穴)に直接差し込んで釣る方法。
※ただし、これらを行う場合でも前述の「遊漁券」が必要になるケースがほとんどです。
✕ 原則として禁止されている(NGになりやすい)仕掛け
「手軽にたくさん獲れそうだから」といって、次のような仕掛けを使うと法律違反になる可能性が非常に高いです。
① もんどり・ウナギ筒(竹筒やプラスチック製の罠)
魚が入ったら出てこられない構造になった「罠(罠かご)」を川底に沈めておく方法です。 これは「漁具(ぎょぐ)」とみなされ、一般の人が使用することを禁止している都道府県がほとんどです。一部の地域で許可されている場合でも、「何個も仕掛けてはいけない」「事前に許可申請が必要」などの厳しい制限があります。
② 延縄(はえなわ)
1本の長いロープに、たくさんの枝糸と針をつけ、一度に何匹ものウナギを狙う仕掛けです。 これも個人の「遊び」の範囲を超えたプロの漁法(漁業権を持つ人だけのもの)とみなされるため、一般人は絶対に使えません。
③ 投網(とあみ)
バサッと大きな網を投げて魚を包み込む方法です。 こちらも都道府県の許可や、専用の「投網用遊漁券」が必要になる場合がほとんどで、誰でも勝手に使って良いものではありません。
④ 水中銃・ヤス(突き刺す道具)
ウナギを突いて捕まえる道具です。 特にゴムの力で飛ばす「水中銃」は全国的に禁止されています。手で突く「ヤス」についても、夜間の使用が禁止されていたり、使用自体が認められていなかったりする地域が多いです。
知らないと大変!全国共通・都道府県ごとの「細かいルール」
「竿で釣るだけなら完璧だよね!」と思った方、もう少しだけ確認すべきルールがあります。川釣りには「時期」や「サイズ」の制限もあります。
ルール①:釣ってはいけない時期(禁漁期間)がある
魚には卵を産む時期(産卵期)があります。その時期に親魚をたくさん捕まえてしまうと、次の年に赤ちゃんが生まれなくなってしまいますよね。
そのため、魚の種類ごとに「釣ってはいけない期間(禁漁期間)」が定められています。
- アユやヤマメ、イワナ: 秋〜冬(または春先まで)は禁漁になることが多いです。
- ウナギ: 地域によっては「10月1日〜翌年3月31日まではウナギを獲ってはいけない」といった禁止期間が設けられています。
ルール②:捕まえてはいけないサイズ(体長制限)がある
「小さすぎる魚は、大きくなるまで川に残しておこう」というルールです。
ウナギの場合、多くの都道府県で「全長20cm〜30cm以下の小さなウナギは捕まえてはいけない(捕まえたらすぐにリリースしなければならない)」と決められています。
もし小さなウナギが針を飲み込んでしまった場合でも、持ち帰ることはできません。そっと糸を切って川に戻してあげましょう。
ルール③:使ってはいけない「エサ」や「薬」がある
川の水質を汚すようなエサの撒き散らし(コマセ釣り)が禁止されている川もあります。また、魚を痺れさせて捕まえやすくするような化学物質や毒物を使うことは、法律(水産資源保護法)で固く禁じられており、重大な犯罪になります。
もしルールを破ってしまったらどうなるの?(罰則について)
「ちょっとくらいバレないでしょ」 「誰も見ていない夜なら大丈夫」
そんな考えは絶対にやめましょう。 川の近くには、漁協の監視員(かんしいん)さんや、地元住民、さらには警察が巡回しています。最近ではSNSの投稿や監視カメラから違反が発覚するケースも非常に増えています。
ルール違反に適用される主な法律と罰則
- 密漁(都道府県内水面漁業調整規則違反など) 遊漁券を買わずに釣りをしたり、禁止されている仕掛け(もんどりや延縄など)を使ったりした場合。 → 「50万円以下の罰金」や「懲役刑(刑務所に入る可能性)」が科されることがあります。
- 漁業法の違反 特定の大切な魚を勝手に捕まえた場合。 → 非常に重い罰則(最大で「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」)が定められています。
「楽しむための趣味」で逮捕されたり、巨額の罰金を払うことになったりしたら、元も子もありませんよね。
トラブルを防ぐ!出かける前にやるべき「3つのチェック」
ここまで読んで、「川釣りって覚えることが多くて大変だな…」と感じたかもしれません。 でも大丈夫です!出かける前に次の3つのステップを踏めば、安心して安全に釣りを楽しむことができます。
ステップ1:行きたい川の「漁協のホームページ」を見る
まずは、あなたが遊びに行こうと思っている川の名前と「漁協」という言葉でインターネット検索をしてみましょう。 (例:「〇〇川 漁協 ルール」)
漁協のホームページには、必ず以下の情報が載っています。
- 遊漁券の値段と買える場所
- 釣って良い魚と、禁漁の時期
- 使って良い仕掛け、禁止されている仕掛け
ステップ2:地元の「釣具店」で話を聞く
ネットの情報だけでは不安な場合、その川の近くにある釣具屋さんに行ってみるのが一番の近道です。
店員さんに、 「〇〇川でウナギを釣りたいのですが、遊漁券はここで買えますか?」 「どんな仕掛けなら使って大丈夫ですか?」 と優しく聞いてみてください。地元のプロが、最新のルールや釣れるポイントまで親切に教えてくれますよ!
ステップ3:都道府県の「内水面漁業調整規則」を確認する
少し難しい名前ですが、各都道府県のホームページには「川や湖でのルールのまとめページ」があります。 検索エンジンで「〇〇県 川釣り ルール」と調べると、分かりやすいイラスト付きのパンフレットPDFなどが公開されていることが多いです。仕掛けの制限について詳しく書いてあるので、一度目を通しておきましょう。
マナーを守って気持ちよく!川での注意事項
ルール(法律)を守ることはもちろんですが、同じくらい大切なのが「マナー」です。マナーが悪い釣り人が増えると、最終的に「釣り禁止」になってしまう川がたくさんあります。
みんなが気持ちよく過ごせるように、以下のマナーを徹底しましょう。
① ゴミは必ずすべて持ち帰る
使い終わった糸、仕掛けのパッケージ、食べたお菓子の袋やペットボトル……。 これらを川に放置すると、水が汚れるだけでなく、鳥や動物が糸に絡まって死んでしまう事故につながります。「自分が持ってきたものは、責任を持って家まで持ち帰る」のが鉄則です。
② 近所の人や他の利用者の迷惑にならないようにする
- 違法駐車をしない: 近くの農家さんのトラクターが通る道や、地元の方の家の前に車や自転車を止めないようにしましょう。
- 夜間の騒音に気をつける: ウナギ釣りは夜間に行うことが多いですが、大声でしゃべったり、ライトで近くの家を照らしたりしてはいけません。
- 挨拶をする: 川で地元の人や他の釣り人とすれ違ったら、「こんにちは」と爽やかに挨拶をしましょう。
③ 命を守るための安全対策をする
川は急に深く増水することがあり、とても危険な場所でもあります。
- ライフジャケット(救命胴衣)を着る
- 天気予報を確認し、雨が降りそうならすぐに撤収する
- 一人で無理な夜釣りに行かない(大人と一緒に行く)
安全対策をしっかり行うことも、立派なルールのひとつです。
まとめ:正しい知識を持って、川の恵みを楽しもう!
いかがでしたでしょうか? 最後に、今回お伝えした「川で釣りや仕掛けをする時の決まりごと」をもう一度おさらいしてみましょう。
- 遊漁券を買う: 川で釣りをする時は、必ず遊漁券(チケット)を購入する。
- 仕掛けのルールを守る: ウナギの罠(もんどり等)や延縄は原則NG!基本は「竿釣り」や「穴釣り」。
- 時期とサイズに気をつける: 禁漁期間や、小さすぎるウナギの持ち帰りは禁止。
- 事前に調べる: 漁協や地元の釣具屋さん、県のホームページで最新ルールを確認する。
- マナーと安全を守る: ゴミを持ち帰り、ライフジャケットを着用して楽しむ。
日本の川は、多くの命が生きる大切な場所であり、地域の人たちが世代を超えて守ってきた大切な財産です。
正しいルールとマナーを頭に入れておけば、何も怖がる必要はありません。ルールを守って仕掛けた竿に、立派なウナギがかかった時の感動は一生の思い出になりますよ!
ぜひしっかりと準備をして、安全で最高に楽しい川釣りの思い出を作ってくださいね。

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