【大相撲】横綱が負け越したら即引退?知っておきたい「進退」のルールと休場との違いを徹底解説!

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higejii(ひげ爺)
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日本の国技である「大相撲」。テレビの中継やニュースで、最高位である「横綱(よこづな)」の取組(とりくみ)をご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。

土俵の上で堂々と構える横綱の姿は本当にかっこいいものですが、相撲を観ていると、ふとこんな疑問が湧いてくることはありませんか?

「もしも横綱が場所中に負け越してしまったら、すぐに引退しなければいけないの?」

大関(おおぜき)や関脇(せきわけ)といった他の力士であれば、負け越しても番付(ばんづけ:地位のこと)が下がるだけで済みます。しかし、最高峰に君臨する横綱には「降格(番付が下がること)」が存在しません。

では、勝率が落ちたり負け越したりした横綱には、一体どのような運命が待っているのでしょうか。

この記事では、相撲初心者の方や中学生の皆さんにもよくわかるように、専門用語を丁寧にかみ砕きながら、「横綱の負け越しと引退の関係」「休場という選択肢」「横綱審議委員会の役割」について徹底的に解説していきます。

読了後には、相撲ニュースや本場所の中継がこれまでの何倍も面白く観られるようになるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。

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1.そもそも「横綱」とはどんな存在?

まずは、横綱という地位がどれほど特別なも

のなのかを整理しておきましょう。ここを理解しておくと、なぜ引退の話題がこれほど重く扱われるのかが良く分かります。

大相撲における最高位「横綱」

大相撲の番付には、下から「序ノ口(じょのくち)」「序二段(じょにだん)」「三段目(さんだんめ)」「幕下(まくした)」「十両(じゅうりょう)」「前頭(まえがしら)」「小結(こむすび)」「関脇(せきわけ)」「大関(おおぜき)」、そして最高峰の「横綱(よこづな)」という階級があります。

相撲界に存在する数百人の力士の中で、横綱になれるのはほんの一握りです。時代によっては、横綱が世界にたった一人しかいない時期もあります。

横綱だけが持つ「降格がない」という特権と責任

他のすべての地位の力士は、15日間行われる本場所で勝つか負けるかによって、次の場所での地位(番付)が上下します。

  • 勝ち越し(8勝7敗以上):次の場所で番付が上がる、または維持される。
  • 負け越し(7勝8敗以下):次の場所で番付が下がる。

例えば、横綱の一つ下の地位である「大関」であっても、2場所連続で負け越すと「関脇」に落ちてしまいます。

しかし、横綱には番付が落ちるというルールがありません。 一度横綱になれば、どれだけ負けても「大関」や「関脇」に下がることはないのです。これが横綱に与えられた最大の特権です。

しかし、この特権には「地位が下がらない代わりに、横綱としての強さや品格を保てなくなった時は『引退』あるのみ」という、極めて重い責任が伴っています。

2. 横綱が「負け越し」たら即引退なの?

結論からお伝えします。

「横綱が負け越したら、絶対にその瞬間に即引退しなければならない」という厳密なルール(規約)があるわけではありません。

制度上、1場所負け越したからといって、日本相撲協会から自動的に首(解雇)にされたり、即座に引退が強制されたりすることはないのです。

しかし、「事実上、負け越した横綱はそのまま引退を選ぶケースがほとんどである」というのが相撲界の現実です。

なぜルールで決まっているわけではないのに、負け越すと引退につながってしまうのでしょうか。それには主に3つの理由があります。

理由①:横綱に求められる絶対的な強さ(責任)

横綱は、大相撲の象徴です。ただ勝てば良いという存在ではなく、「誰よりも強く、常に優勝争いに絡むこと」が期待されています。

本場所(15日間)で8勝7敗のようなギリギリの勝ち越しや、7勝8敗といった負け越しは、横綱としては「不甲斐ない成績」とみなされます。横綱としてのプライド、そしてファンや相撲界への責任から、勝ち越せなくなった横綱は自ら「引退」を決断することが通例となっているのです。

理由②:周囲からの厳しい視線と世論

横綱が負け越しを重ねると、相撲ファンやメディア、後述する「横綱審議委員会」から厳しい批判の声が上がります。「横綱の権威を傷つけている」「潔く引き際を決めるべきだ」という圧力が強まるため、現役を続けることが心理的にも難しくなっていきます。

理由③:自分自身のプライドと限界の察知

力士自身も、自分が「横綱として満足な相撲が取れなくなった」と自覚した時が引退のタイミングだと考えています。怪我や年齢による体力の衰えで自分の納得いく相撲が取れなくなった場合、負け越しを機に自ら土俵を去ることを決断します。

3. なぜ横綱は負け越す前に「休場」するのか?

相撲のニュースを観ていると、「横綱〇〇が、明日から休場(きゅうじょう)することになりました」という発表をよく耳にしませんか?

実は、横綱が15日間の本場所を最後まで取り切って「負け越す」というシーンは、歴史的にも非常に珍しい現象です。なぜなら、多くの横綱は負け越しそうになると、その途中で「休場(相撲を休むこと)」を選ぶからです。

「休場」とはどういう状態?

休場とは、怪我や病気などの理由で本場所の取組を休むことを指します。取組を休んだ日は「不戦敗(ふせんぱい:戦わずして負け)」扱いとなります。

例えば、5日目までに2勝3敗と不調で、6日目から休場した場合、残りの9日間はすべて負け扱い(不戦敗)となり、最終的な成績は「2勝13敗(うち9敗は不戦敗)」となります。

なぜ負け越す前に休むのか?

「負け越しそうだから逃げているのではないか?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、これには明確な相撲界の理屈が存在します。

  1. 怪我を悪化させないため(再起を図るため)横綱が不調に陥る最大の原因は「怪我」です。無理をして出場し続け、さらに大怪我を負ってしまうと復帰すらできなくなります。一度休場してしっかりと治療を受け、次の場所で万全の状態で復活を目指すのはアスファルトで言えば「補修工事」のような大切な選択です。
  2. 無様な相撲を見せないため満身創痍の状態で土俵に上がり、格下の力士に簡単に負け続ける姿は、横綱の「品格」や「威厳」を損なうと考えられています。完璧なパフォーマンスができないのであれば、土俵に上がらない方が良いとされる文化があるのです。

したがって、横綱の流れとしては以下のような形が一般的です。

【一般的な横綱の不調時の流れ】
怪我や不調で負けが込む
 ↓
場所の途中で「休場」を発表する
 ↓
次の場所までに怪我を治す
 ↓
次の場所でも復活できず、途中休場や不調が続く
 ↓
「もう横綱としての相撲が取れない」と判断し、引退を決意する

このように、横綱は「最後まで出場して負け越す」のではなく、「途中で休場して再起をかけるか、それとも引退するか」の二択を迫られることが多いのです。

4. 横綱の進退を左右する「横綱審議委員会(横審)」とは?

横綱の引退や進退を語る上で絶対に欠かせない存在が、「横綱審議委員会(よこづなしんぎいいんかい)」、通称 「横審(よこしん)」 です。

ニュースなどで「横審が横綱に厳しい意見を出しました」といった報道を見たことがあるかもしれません。この組織がどのような役割を持っているのかを見ていきましょう。

横綱審議委員会(横審)とはどのような組織?

横綱審議委員会とは、日本相撲協会の委嘱(いしょく:頼まれて引き受けること)を受けた、相撲界外部の有識者によって構成されるグループです。

メンバーには、元スポーツ選手、作家、経済人、学者など、社会的に高い信頼を得ている人たちが選ばれます。相撲界内部の人間(親方たち)だけで判断すると身内に甘くなってしまう可能性があるため、「外部の客観的で厳しい目」を入れるために設置されています。

横審が持っている3つの決議(特別ルール)

横審は、成績が不振な横綱や、休場が続いている横綱に対して、以下の3段階の「決議(意見の発出)」を行うことができます。

決議の種類意味と重さ内容
① 激励(げきれい)軽度の注意「最近成績が良くないけれど、次はしっかり頑張ってくださいね」という励ましと警告。
② 勧告(かんこく)非常に重い警告**「横綱としての責任を果たせていません。猛省して復活するか、できなければ引退しなさい」**という強力な注意。
③ 引退勧告(いんたいかんこく)最も重い命令に近い決定「あなたにはもう横綱を務める資格がありません。今すぐ引退しなさい」という事実上の引退指示。

※決議の出席委員の3分の2以上の賛成によって決定されます。

「勧告」が出されたらどうなる?

もし横審から「注意」や「勧告」の決議が出された場合、その横綱は次の場所で圧倒的な結果(優勝やそれに準ずる素晴らしい成績)を残さなければなりません。

もし次の場所でも途中で休場したり、不甲斐ない成績に終わったりした場合は、ほぼ100%引退へと追い込まれることになります。つまり、横審からの決議は「横綱にとってのイエローカード・レッドカード」のようなものなのです。

5. 過去の歴史から見る「横綱の負け越し」事例

「じゃあ、歴史上で本場所を15日間最後まで取り切って、実際に負け越した横綱は一人もいないの?」

そう疑問に思う方もいるでしょう。結論から言うと、非常に珍しいですが、歴史上には15日間出場して負け越した横綱も実在します。

いくつか代表的な例をご紹介します。

事例①:15日間出場して負け越した伝説の例

昭和や平成の相撲史において、横綱が15日間休まずに出場し、7勝8敗などで負け越したケースは数えるほどしかありません。

例えば、昭和の大横綱と呼ばれた選手でも、衰えが見え始めた晩年に15日間戦い抜いて7勝8敗となり、その場所の千秋楽(最終日)や直後に潔く引退を表明したという記録が残っています。

「15日間土俵に立ち続けて負け越す」ということは、横綱にとってそれほどまでに重く、受け入れがたい現実なのです。そのため、負け越しが確定した瞬間、あるいは場所終了直後に引退を発表するのが通例です。

事例②:休場を繰り返した末の引退

現代の大相撲でより多いのは、負け越しそのものよりも「不調による連続休場」から引退に至るパターンです。

  • 怪我で数場所連続で休場する
  • 進退をかけて臨んだ場所で、序盤に数敗してしまい、途中で休場する
  • 横綱審議委員会から「注意」や「激励」を受ける
  • 次の場所でも結果を残せず、そのまま土俵を去る

近年の多くの横綱(貴乃花、朝青龍、白鵬、稀勢の里など)も、怪我との凄絶な闘いの末に、自分の納得いく相撲が取れなくなったタイミングで引退を決断しています。

6. 横綱と他の地位(大関・関脇など)の違いを比較!

横綱の凄さと厳しさをより深く理解するために、他の地位の力士とルールを比較してみましょう。

地位負け越したらどうなる?休場したらどうなる?引退のタイミング
横綱降格はないが、事実上の引退へ追い込まれる降格はないが、休場が続くと横審から警告を受ける自ら決断するか、周囲の勧めによって引退する
大関1場所なら「カド番」になる。2場所連続で負け越すと関脇に降格15敗扱いとなり、負け越しと同じ扱いで降格リスクがある本人が限界を感じるまで、何度番付が下がっても現役続行可能
関脇・小結・前頭即座に次の場所で番付が下がる休場した分は負け扱いとなり、番付が下がる番付がどれだけ下がっても、本人が辞めない限り現役を続けられる

この表を見るとわかるように、一般の力士は「負けたら番付が下がるけれど、何度でもやり直せる」のに対し、横綱は「番付は絶対に下がらないけれど、失敗し続ければ引退しかない」という、崖っぷちの緊張感の中で毎場所を戦っているのです。

7. なぜ大相撲では横綱にここまで厳格さを求めるのか?

「一度横綱になれたんだから、少し衰えても温かい目で見守ってあげればいいのに」と思う方もいるかもしれません。

なぜ、大相撲の世界では横綱に対してこれほどまでに厳しく「強さ」と「進退」を求めるのでしょうか。そこには、大相撲が持つ独自の文化と歴史が関係しています。

原因①:横綱は「神事(しんじ)」の象徴だから

大相撲は単なるスポーツではなく、もともとは神社などで神様に見せるために行われていた「神事(神様のための儀式)」という側面を持っています。

横綱が腰に締めている白い大きな縄(横綱)は、神社にある「注連縄(しめなわ)」と同じものです。つまり、横綱は「神様が宿る聖なる存在」として土俵に立っています。そのため、無様な姿や不甲斐ない戦いを見せることは、相撲の神様や伝統に対する不敬(失礼)にあたると考えられているのです。

原因②:番付の頂点としての格調を保つため

もし横綱が毎回負け越しているのに、一番上の地位に居座り続けたとしたらどうでしょう。

一生懸命稽古をして横綱を目指している若い力士たちの目標がかすんでしまいますし、観客も「一番強いはずの横綱が簡単に負けるスポーツ」として興ざめしてしまいます。

大相撲という世界の価値と緊張感を高め続けるために、一番上の横綱には誰よりも厳しい基準が課せられているのです。

8. まとめ:横綱の「負け越し」と「引退」の真実

長くなりましたが、今回のテーマである「横綱が負け越したら引退なのか?」という疑問の答えを改めて整理します。

本記事のポイントまとめ

  1. ルール上の即引退はない:負け越したら自動的に引退という明文ルールはないが、横綱としての責任とプライドから事実上の引退となることがほとんど。
  2. 降格がないからこその重み:横綱はどれだけ負けても大関や関脇に落ちない。だからこそ、勝てなくなった時は「引退」しか道がない。
  3. 負け越す前に「休場」することが多い:怪我の治療や、無様な相撲を見せないために、途中で休場して次の場所での復帰を目指すのが一般的。
  4. 横綱審議委員会の存在:成績不振や休場が続く横綱には、外部の有識者から「注意」や「勧告」という厳しい警告が出され、進退が迫られる。

横綱という地位は、名誉や華やかさがある一方で、常に「負けたら即引退」というプレッシャーと隣り合わせの、非常に孤独で過酷なポジションです。

次にテレビや会場で大相撲を観るときは、土俵に上がる横綱が背負っている「降格がないゆえの重圧」にも思いを馳せてみてください。きっと、一番一番の取組がより深く、感動的に見えてくるはずです。

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