みなさんの身近にあった最悪な物質PFAS(ピーファス)とは?健康リスクと今できる対策

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higejii(ひげ爺)
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みなさんは「PFAS(ピーファス)」という言葉を聞いたことはありますか。
ニュースで「水道水からPFAS検出」「発がん性が疑われる物質」などと取り上げられることが増え、「なんだか怖そうだけど、実際どう危険なの?」と感じている方も多いと思います。

PFASは「ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物」の略で、4,700種類以上ある化学物質の総称とされています。 ほとんどが人工的に作られた物質で、水や油をはじき、熱や薬品にも強いという、とても「都合のいい」性質を持っています。

その結果、PFASは1940年代後半から商業利用が広がり、

  • フッ素加工のフライパン
  • 撥水・防汚加工の衣類
  • 泡消火剤
  • 塗料やコーティング剤
  • 半導体や各種工業製品

など、私たちの生活の本当に身近なところまで入り込んでいきました。
便利さの影で、「分解されにくく環境中に蓄積し、健康被害につながる可能性がある」という重大な問題があとから浮かび上がってきたのです。

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なぜ「最悪な物質」と言われるのか

自然環境でほとんど分解されない

PFASが「最悪」とまで呼ばれる大きな理由の一つが、「分解されにくさ」です。
PFASは非常に強い炭素とフッ素の結合を持ち、自然の中ではほとんど分解されません。 このため一度環境中に放出されると長期間残留し、世界中で「永遠の化学物質」と呼ばれるようになりました。

PFASを含む排水や廃棄物が処理されずに流出すると、まず土壌が汚染され、その後ゆっくりと地下水にしみ込み、広い範囲で水道水などの汚染につながります。
汚染は特定の工場周辺にとどまらず、時間をかけてどんどん広がっていくため、一度汚染が起こると、元のきれいな状態に戻すのが極めて難しいのです。

体内に蓄積しやすい

PFASは環境中で分解されにくいだけでなく、一部の物質は生物の体内にも蓄積しやすい性質を持っています。
人間の場合、PFASを含む水や食品などを長期間摂取し続けると、血液や臓器の中に蓄積し、なかなか排出されません。

アメリカの化学メーカー・デュポン社の工場周辺で行われた大規模な調査では、約7万人の住民を対象にPFAS摂取量と健康への影響を調べた結果、血中コレステロール値の上昇や、腎臓がん、精巣がん、甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎、妊娠高血圧症との関連が報告されています。
こうしたデータからも、「長期間、知らないうちに体に入ってしまう」ことが大きな問題だとわかります。

国際的に禁止・規制されるレベルの有害性

PFASの中でも代表的なPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)は、その有害性が特に問題視されてきました。
これらは環境中で分解されにくく、生物の体内に蓄積しやすいことから、国連のストックホルム条約において製造・使用・輸出が原則禁止とされています。

また、国際がん研究機関(IARC)はPFOAを「発がん性がある(Group1)」、PFOSを「発がん性の可能性がある(Group2B)」と評価しており、発がん性に関する懸念も具体的になっています。
「便利な物質」から、「国際条約で規制すべき危険な物質」へと評価が一変したと言ってよいでしょう。

PFASの種類と代表的な物質

PFASは4,700種類以上あると言われており、すべてが同じ性質やリスクを持つわけではありませんが、特に問題視されている代表的な物質があります。

  • PFOS(ピーフォス:ペルフルオロオクタンスルホン酸)
    フッ素系撥水剤、泡消火剤などに使われてきた物質で、すでに国際的に製造・使用が禁止・規制されています。
  • PFOA(ピーフォア:ペルフルオロオクタン酸)
    フッ素樹脂(いわゆるテフロン加工など)製造に用いられてきた物質で、発がん性が最も高いランク(Group1)に分類されています。
  • PFHxS(ピーエフヘクスエス:ペルフルオロヘキサンスルホン酸)
    PFOSやPFOAに続いて注目されている物質で、日本でも2024年6月から新規製造などの規制が強化されています。

規制が進む一方で、PFOSやPFOAの代替として他のPFASが使われるケースもあるため、「代替品だから安全」とは言い切れず、今後も評価や規制の対象が広がっていく可能性があります。

PFASはどこに使われてきたのか

「そんな危ないものなら、どうしてそもそも使ったの?」と感じる方も多いはずです。
PFASは、以下のような場面で「とても便利な性能」を発揮してきました。

  • 水や油をはじく:撥水・撥油加工の衣類、アウトドアウェア、ソファやカーペットなどの防汚加工
  • 熱や薬品に強い:フッ素樹脂加工のフライパン、調理器具、工業部品
  • 泡消火剤:ガソリン火災など、高温で広がりやすい火を素早く覆い、消火するための特殊な消火剤
  • 各種工業用途:半導体、メッキ、塗料、コーティング剤など

特に泡消火剤は、自衛隊基地や米軍基地、大型駐車場などに設置され、日本国内でもPFAS汚染の原因の一つとして疑われる事例があります。
フッ素加工のフライパンは、焦げ付きにくく日常的に使いやすいため、多くの家庭で長年使われてきました。

ただし、PFASが健康に影響を及ぼす主なルートは、「PFASを含む地下水や水道水を長期的に飲み続けること」であり、一般的にフッ素加工のフライパンなどを通常の使い方で使用しているだけでは、健康被害のリスクは低いと考えられています。
この点を押さえておくことで、必要以上に恐れすぎず、冷静に対策を考えることができます。

PFASによる健康への影響

ここで気になるのが、「私たちの身体にどんな影響が出るのか」という点ですよね。
現時点で、PFASによる健康リスクとして、次のようなものが指摘されています。

  • 血中コレステロール値の上昇(動脈硬化や心疾患のリスク)
  • 甲状腺疾患(甲状腺ホルモンの乱れなど)
  • 肝機能障害、肝疾患
  • 腎臓がん、精巣がんなど一部のがんとの関連
  • 免疫機能の低下(ワクチンへの反応性低下などが指摘)
  • ホルモンバランスの乱れ、生殖機能への影響、不妊リスクの上昇の可能性

ただし、すべてのPFASが同じ強さの影響を持つわけではなく、がんとの関係などについても「関連が示唆されているものの、証拠は限定的」とされている領域もあります。
つまり、「まちがいなくこうなる」と断定できる段階ではないものの、「長期間・高濃度の曝露は避けた方がよい」と国際的に判断されている、とイメージしていただくと近いかもしれません。

どのようにして私たちの体に入るのか

「そんな物質、口にしているつもりはないのに…」と感じるかもしれませんが、PFASは主に以下のルートで人の体に入ると考えられています。

  • 汚染された地下水や水道水を飲料水として長期間飲む
  • PFASが使われた工場排水の影響を受けた河川・湖・海に棲む魚介類を通じて摂取する
  • PFASを含む食品包装材などから、ごく微量が食品に移行する可能性
  • 一部の産業現場で、作業者が高濃度のPFASに曝露するケース

特に問題視されているのは、「PFASを含む地下水や水道水を飲み続けること」です。
日本でも、東京・多摩地域や沖縄県など、PFASが基準値を超えて検出された地域があり、自治体が井戸の使用停止や浄水場の運転方法の変更などを行った例があります。

一方で、フッ素加工のフライパンや撥水加工の衣類を普通に使用することにより、直接的に健康被害が生じる可能性は低いとされています。
ですので、「すべてのフライパンや服を今日から捨てなければならない」という話ではなく、主に「水」と「長期間の蓄積」という観点でリスクを考えるのが現実的です。

世界と日本の規制の流れ

PFAS問題は、特定の国だけの話ではなく、世界中で議論と規制が進んでいるテーマです。
代表的なPFOSやPFOAは、国連のストックホルム条約で製造・使用・輸出が原則禁止となり、日本を含む約180カ国がこれに批准しています。

日本でも、化学物質審査規制法や水道水質基準の見直しなどを通じて、PFASへの規制や指針値の設定が進められています。
2024年6月にはPFHxSについても新規製造などの規制が強化され、今後も対象物質や規制の範囲が拡大していくと見込まれています。

ただし、PFASは種類が非常に多く、すべてを一度に規制するのは容易ではありません。
そのため、「PFAS全体を一括で規制するべきか」「個別物質ごとに評価していくべきか」といった議論も続いており、規制と産業利用とのバランスをどう取るかが大きな課題になっています。

日常生活でできる現実的な対策

ここまで読んで、「不安になってきたけど、結局わたしたちは何をすればいいの?」と思われたかもしれません。
完璧にPFASをゼロにするのは現実的ではありませんが、日常生活の中でリスクを下げるために、いくつかできることがあります。

お住まいの地域の情報をチェックする

まずは、ご自身の住んでいる地域でPFASに関する調査や情報公開が行われていないか、自治体や水道局の発表を確認してみてください。
PFASが検出された地域では、井戸水の使用制限や浄水場の運転方法の変更、活性炭処理の強化など、すでに対策が取られている場合があります。

情報を知ることで、不必要な不安に振り回されず、必要な対策に絞って行動しやすくなります。

浄水器やミネラルウォーターの活用を検討する

PFASは、特に活性炭フィルターや逆浸透膜(RO膜)などで除去できることが知られています。
ご家庭でできる対策としては、以下のような方法があります。

  • 活性炭タイプの浄水器を利用し、定期的にカートリッジを交換する
  • 不安が大きい場合は、RO浄水器など高度な浄水システムも検討する
  • 乳幼児や妊婦の飲み水だけでも、ミネラルウォーターや浄水を使うようにする

ただし、浄水器によって対応できる物質や性能が違うため、「PFAS除去」についてどの程度の検証がされているか、メーカーの情報を確認することも大切です。

PFASフリー製品を選ぶ意識を持つ

最近では、「PFASフリー」「フッ素不使用」などをうたう製品も増えてきました。
すべてを今すぐ買い替える必要はありませんが、新しくフライパンやアウトドアウェア、防水スプレーなどを購入する際に、PFASフリーかどうかを一つの判断材料にしてみるのも一つの方法です。

消費者がPFASフリー製品を選ぶ動きが広がれば、企業側もPFASに頼らない製品開発を進めやすくなります。
これは、個人としてできる「より長期的な対策」の一つと言えるでしょう。

情報に振り回されすぎない

最後に、とても大事なポイントです。
PFASには確かにリスクがあり、世界的に問題視されているのは事実ですが、現時点では健康影響のすべてが解明されたわけではなく、「どの程度の濃度や期間でどんな影響が出るのか」についても、研究が続いている段階です。

SNSや一部の報道では、センセーショナルな表現で不安をあおる情報も出回りがちです。
「自分の地域の状況」「信頼できる公的機関や専門家の発信」「現実的に取れる対策」の三つを意識しながら、過度な恐怖ではなく、冷静な行動につなげていきたいところです。

これからPFASとどう付き合っていくか

PFASは、私たちの暮らしを便利にしてきた一方で、「環境中にも体内にも長く残り続ける」という厄介な顔を持つ物質です。
すでに世界中の土壌や水、野生生物、人の血液からPFASが検出されており、今後さらに健康影響や環境への影響が明らかになってくる可能性もあります。

だからこそ、

  • 「存在を知る」
  • 「どこに使われているかを知る」
  • 「どんな健康リスクがあるのかを知る」
  • 「今日からできる小さな対策」を続ける

この4つを意識することが、PFASと付き合っていくうえでの第一歩になります。

みなさんが毎日何気なく飲んでいる一杯の水や、キッチンで使っている調理器具、着ている服の素材——その裏にある化学物質の存在に、少しだけ目を向けてみませんか。
知ることは、不安になるためではなく、「自分と家族を守るための選択肢を増やすこと」につながります。PFASをめぐる状況はこれからも変化していきますので、今後も信頼できる情報源からアップデートを続けていきましょう。

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