
「え、足場が“竹”なの?」
ニュースを見て、あなたも思わず画面にくぎ付けになったのではないでしょうか。
2025年11月下旬、香港の高層マンション群で大規模な火災が起き、少なくとも50人以上が死亡、数十〜数百人規模の行方不明者が出る未曾有の事態となりました。
しかも、火は1棟だけではなく、なんと8棟のうち7棟に燃え広がったと報じられています。
その背景にあったのが、香港で伝統的に使われてきた「竹の足場」。
日本ではほとんど見かけないこの足場が、なぜ“炎のトンネル”と化してしまったのか、そして日本に住む私たちは何を学ぶべきなのか。この記事では、ニュースの裏側をかみ砕いてお話ししていきます。
「テレビで見たけど、正直よく分からなかった…」
「自分の住んでいるマンションは大丈夫なの?」
そんなモヤモヤを、一緒にスッキリ解消していきましょう。
香港マンション火災は何が起きたのか
まずは、今回の火災で何が起きたのかを整理します。数字だけを見るとショッキングですが、全体像を知ることが大事です。
- 発生場所:香港北部・大埔地区の高層マンション群(8棟約2000戸規模)
- 発生日時:2025年11月26日午後(現地時間)
- 状況:改修工事中で、建物全体が竹製足場と保護ネットで覆われていた
- 被害:死者は50人以上、消防隊員も含まれ、行方不明者も多数と報じられている
- 延焼:8棟のうち7棟にまで燃え広がり、夜を徹した消火活動でも鎮火のめどが立たないほどだった
現地の消防は、高層階まで水が届きにくく、外壁が崩れ落ちるほどの激しい火勢の中で、数百人規模の消防・救急隊を動員する難しい消火活動を迫られました。
そして「なぜここまで燃え広がったのか?」という問いに対して、当局やメディアが指摘したのが「竹の足場」と、それを覆う可燃性ネット・発泡スチロールなどの資材だったのです。
なぜ香港では今も「竹の足場」なのか

日本人からすると、「高層マンションなのに足場が竹?」と驚きますよね。ですが、香港では竹の足場は決して珍しいものではありません。
- 竹足場は香港や中国南部などで伝統的に使われてきた工法で、職人たちは高層ビルにも竹で組んだ足場を器用に組み上げていきます。
- 竹は軽量で強度も高く、コストが低いことから、香港の建設現場では広く普及してきました。
しかし一方で、乾燥した竹は油分を多く含んでおり、非常に燃えやすいという性質があります。
今回の火災では、この“燃えやすさ”が最悪のかたちで作用してしまったと見られています。
実は香港政府は、安全性の観点から、竹足場から金属製の足場へ段階的に切り替えていく方針を打ち出していました。
そんな中で起きてしまったのが、今回の「竹足場」を伴う大規模火災だったのです。
「竹の足場」が炎を広げた仕組み
では、竹の足場がどのようにして8棟のマンションにまで火を広げてしまったのでしょうか。ここが今回のニュースの核心部分です。
報道や専門家の解説を整理すると、おおよそ次のようなメカニズムが指摘されています。
- 建物全体が竹の足場と保護ネットで覆われていた
- 低層階付近で火災が発生
- 外壁と足場の隙間で「煙突効果」
- 燃えた竹とネットが隣の棟へ飛び火
- 高層マンション特有の「消火の難しさ」
こうして見ていくと、「竹=古くて危ないもの」という単純な話ではなく、「竹足場+可燃性ネット+発泡スチロール+高層建築の構造+強風」という複数の要因が重なって、まさに“最悪の条件”がそろってしまったことが分かります。
火災現場で何が起きていたのか(住民・消防の目線)
ニュース映像を見て、「現場はどれだけ大変だったのか…」と胸が痛くなった方も多いと思います。
- 4000人が暮らす巨大なマンション群での火災で、多くの住民が生活したまま改修工事が行われていたと報じられています。
- 火災発生当時、外では「火事だ!」という叫び声があがり、人々が泣きながら抱き合っている様子も伝えられました。
消防・救急側も過酷な状況に置かれていました。
- 消防車約120台超、救急車数十台、計700人以上の消防・救急隊員が出動したという話もあり、街ぐるみの対応となりました。
- 高温・高所・視界不良という三重苦で、隊員自身が命の危険にさらされる中、行方不明者の捜索と消火活動が続けられました。
また、外務当局の情報によると、現時点では日本人の被害は確認されていないと報じられていますが、規模の大きさから、今後も情報の更新が続く可能性があります。
こうした“現場のリアル”を知ると、「海外で起きたニュース」と他人事にするのではなく、「自分ならどう行動するか」「自分の家は大丈夫か」と考えたくなりますよね。
なぜ工事関係者が逮捕されたのか
今回の火災では、香港の警察が工事会社関係者など数人を逮捕した、と複数のメディアが報じています。
報道内容を整理すると、主に次の点が焦点になっています。
- 外壁の修繕に使用された資材が、定められた安全基準よりも燃えやすい材質だった可能性が指摘されている
- 火災の被害の大きさから、「業務上の過失」や「誤殺(過失致死)」にあたるかどうかを含め、捜査当局が慎重に調べているとされています。
つまり、単に「運が悪かった火災」ではなく、「防げたはずの事故だったのではないか」という視点から、責任の所在が問われ始めているわけです。
この点は、日本でマンションの大規模修繕やリフォームを行うときにも、他人事ではありません。
安全基準を守らないことが、「コスト削減」どころか、大きな人的・社会的損失につながることを、今回の火災は痛烈に示しています。
日本のマンションでも起こり得るのか?
「香港の話だから、日本とは事情が違うでしょ?」
たしかに日本では、竹足場が高層マンションに使われることはまずありません。主流は鋼製足場やクサビ式足場など、金属製のシステム足場です。
しかし、だからといって「日本は安全」と断言できるほど、火災リスクがゼロなわけではありません。
- 外壁工事中のマンションは、メッシュシートや防音シートで全体が覆われることが多く、これが風向きや火の出所によっては延焼を助長する可能性があります。
- ベランダや共用廊下に物が多く置かれていると、避難経路がふさがれたり、燃え広がりの“燃料”になってしまうことも考えられます。
- 高層階では、火災時にエレベーターが使えないため、階段での避難が難しく、初期対応がより重要になります。
日本と香港で工法や足場の材質は違っても、「工事中のマンションは火災リスクが高まりやすい」という点は共通しています。
今回の香港のケースは、“他国の特殊な事故”ではなく、「工事中の集合住宅が抱える危険」を象徴的に浮き彫りにした出来事と言えるでしょう。
マンション住民としてできる火災対策
では、実際にマンションや集合住宅に住んでいる私たちは、どんな点に気をつければいいのでしょうか。
ここからは、あなたの生活目線でできる工夫を、一緒に確認していきましょう。
- 工事のお知らせは「防災目線」で読む
- 大規模修繕や外壁工事のお知らせには、足場やシートの設置期間、工事時間帯などが書かれています。
- そこに防災の視点を少し加えて、「この期間は避難しづらくならないか」「非常階段の出入りに支障はないか」を意識してみてください。
- ベランダ・共用廊下に物を置きすぎない
- ベランダは“なんでも置き場”になりがちですが、可燃物が多いほど、火がついたときの燃料になってしまいます。
- 植木鉢や段ボール、古い家具など、不要なものはこの機会に整理しておくと安心です。
- 非常口・非常階段の位置を家族で共有
- 「避難訓練なんて子どもの頃だけ」と思ってしまいがちですが、大人こそ“頭の中の訓練”が大事です。
- フロア図やマンションの掲示板をチェックして、「自分の部屋から、どのルートで非常階段まで行くか」を家族で話し合っておきましょう。
- 火災報知器・消火器・スプリンクラーを確認
- 室内の火災報知器が正常に作動するか、設置場所がわからなくなっていないかも要チェックです。
- 共用部の消火器の場所や、スプリンクラー設備の有無も、エレベーター内の掲示や管理組合の資料で確認できます。
「全部いっぺんにやるのは大変」と感じたら、まずはひとつだけでOKです。
たとえば今日、「ベランダの段ボールだけ片づける」と決めるだけでも、将来のリスクは確実に下がります。
管理組合・オーナー目線で見直したいポイント
もしあなたが、マンションの管理組合の役員や、オーナー側の立場なら、今回の香港火災はさらに“自分ごと”として捉える必要が出てきます。
- 工事会社の選定時に、「価格」だけでなく「安全対策」をどこまで具体的に取っているかを確認する
- 足場や養生シートなどの仕様、使用する資材の難燃性などについて、見積書や仕様書に明記してもらう
- 工事中の避難動線・一時集合場所などについて、住民向けに分かりやすい案内を行う
- 消防署との連携(工事計画の相談、訓練の実施など)も、可能であれば検討する
香港で問題になっているように、「本来求められる安全基準に満たない資材を使っていなかったか」「工期・コスト優先で安全がおろそかになっていなかったか」が後から問われるケースは、日本でもあり得ます。
「安全のために払うコストは、“保険料”だ」と考える視点が、これからますます大事になってきます。
まとめではなく「あなたへの問いかけ」
ここまで読んでくださったあなたは、もうニュースの見え方が少し変わってきているのではないでしょうか。
- 「香港マンション火災」は、単なる海外ニュースではなく
- 「工事中の集合住宅が抱えるリスク」を教えてくれるケーススタディであり
- 「住民・管理側それぞれが、自分の役割として見直せるポイント」が詰まった出来事
最後に、あなたに問いかけてみたいことがあります。
- 今日、この後5分だけ時間を取って、自分の家のベランダを見直してみませんか?
- マンションのエントランスや掲示板で、非常階段や避難経路の案内を、1度だけでいいのでじっくり眺めてみませんか?
- 管理組合の理事会のお知らせが来たら、「面倒だな」とスルーせず、一度だけ参加してみませんか?
今回の香港マンション火災で命を落とした人たちのことを思うと、「少しの手間で防げることは、今からやっておきたい」と感じるはずです。
あなたと、あなたの大切な人が、二度と同じ悲劇に巻き込まれませんように。
その願いを込めて、この記事を終えたいと思います。


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