
散歩中、通学中、あるいはジョギング中に突然「バキッ」と音を立てて木が倒れてきたら…。想像するだけで怖いですよね。木が倒れて人がケガをしてしまう事故は、実は毎年のように報告されています。特に台風や強風、大雨の後にはこうした倒木事故のリスクが高まります。
ここで多くの人が気になるのは、「もし公共の木が倒れて自分や家族がケガをしたら補償されるのか?」という問題です。今回はその答えを、法律や自治体の対応例を踏まえて、わかりやすくお伝えしていきます。
公共の木の管理責任は誰にある?

まず大前提として、道路や公園、河川敷に植えられている公共の木には「管理者」が存在します。
- 道路沿いの街路樹 → 原則的に道路管理者(国土交通省・都道府県・市区町村)
- 公園の木 → 自治体の公園管理課や指定管理者
- 河川沿いの木 → 河川管理者(国や都道府県の河川課など)
つまり、「公共の木」といっても、その設置場所によって責任を負う主体が違うのです。そして管理者には「安全に管理する義務」が課されており、倒木による事故もこの義務を果たしていたかどうかがポイントになります。
補償してもらえるのはどんな場合?
では、具体的にどのようなケースで被害者は補償を受けられるのでしょうか。
- 管理不備があった場合
- 以前から枯れていた木を放置していた
- 根が弱っているのを見て見ぬふりをした
- 台風前に危険木の点検を怠っていた
こうした「予見できたのに管理を怠ったケース」では、管理者の過失が認められ、損害賠償を請求できる可能性が高くなります。
- 不可抗力とされるケース
- 大型台風で広範囲の木が倒壊
- 地震や突風など、人為的に防ぎようのない自然災害
こうした場合は管理者に過失がないとされ、補償を受けられないケースもあります。ただし「本当に不可抗力だったのか」は争点になりやすいです。

補償の流れと必要な対応
もしあなたや家族が公共の木によってケガをした場合、どう動けばいいでしょうか。
- 警察・救急へ通報
事故であれば必ず警察に通報を。人身事故証明が後の補償請求に必要です。 - 現場写真を撮影
倒れた木の写真、周囲の状況、ケガの部位などを記録しておきましょう。スマホでも十分です。 - 管理者への連絡
道路なら道路管理課、公園なら公園管理事務所に報告を。 - 診断書を受け取る
ケガをしたら必ず病院で診断書をもらいましょう。これが補償額算定の基本資料になります。
実際に補償された事例
過去には、以下のような判例や自治体対応例があります。
- 街路樹が腐って倒れ、自転車通行者が骨折 → 自治体に賠償命令
- 公園の老木が枝折れ、通行人に直撃 → 管理不備で補償対応
- 台風直後の河川敷での倒木事故 → 自然災害とされ補償なし
このように、ケースによって対応が分かれるため、まずは自治体に申し出ることが重要です。
自分の保険でカバーできる場合もある
もし自治体から補償が受けられなかった場合、自分や家族が加入している保険でカバーできるケースもあります。
- 傷害保険 → 通院・入院・手術費を給付
- 損害保険(個人賠償責任保険など) → 家族が加害者になった場合に使える
- 自動車保険の特約 → 自転車事故や歩行中の事故にも対応
「自治体に補償請求→不可→自分の保険を確認」と流れを押さえておくと安心です。
弁護士に相談すべきケース

もし自治体が「補償できません」と言い張り、自分は納得できない…という場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
特に次のような場合には早めの相談がおすすめです。
- ケガが重傷で治療費が高額
- 後遺症が残る可能性がある
- 管理不備の証拠(枯れ木放置など)がある
初回相談無料の弁護士事務所も増えていますので、証拠資料を持参して相談するとスムーズです。
予防としてできること
もちろん一番大切なのは「事故に遭わないこと」です。
- 強風・台風時は公園や大きな木の近くを避ける
- 枯れている枝や不自然に傾いた木を見かけたら自治体に通報
- 通学路・通勤路も定期的にチェックしておく
こうした小さな意識が、予期せぬ事故を防ぐことにつながります。
まとめ
公共の木が倒れてケガをしてしまった場合、「補償してもらえるのか?」は大きな関心ごとです。結論から言えば…
- 自治体や管理者に過失があれば補償を請求可能
- 自然災害など不可抗力の場合は補償されないケースもあり
- まずは現場証拠と警察・診断書 → 管理者へ報告が大切
- 補償が難しくても、自分の保険や弁護士相談で次の一手がある
あなたや家族が安全に過ごすために、知っておくだけでも安心できる内容だと思います。
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