
こんにちは。突然ですが、もしあなたが「正直に返した借金が、返さない人より損になる」と聞いたら、どう感じますか?今、韓国社会はまさにこの問題で、揺れに揺れています。
2025年、韓国では歴史的な「借金帳消し政策」がスタートしました。弱者救済を名目にしたこの政策は、長期延滞債務者や困窮する自営業者の負債を大きく減免、あるいは実質的に「帳消し」にする前例のないものです。しかしその一方で、「真面目に返した人が馬鹿を見る」「自分の税金が他人の借金に」という怒りや不公平感、社会の分断が一気に表面化しました。ここでは、現地メディアの最前線取材や政策の実態、浮上する様々な波紋を、できる限りわかりやすく伝えていきます。
韓国「借金帳消し政策」とは何か?
政策の主な内容
- 対象者:7年以上返済が滞った5000万ウォン(約536万円)以下の無担保借金を抱えた個人、実質的に返済困難な自営業者等
- 救済内容:
- 月収14万円以下の低所得者は「全額免除」
- 条件に満たない場合でも「最大80%減免+10年分割」
- 自営業者は最大90%債務免除の「新出発基金」支援
- 規模:対象者は約113万人、総額22.6兆ウォン(約2.5兆円)の債務が帳消しまたは大幅減免される見込み
- 方法:政府出資の「バッドバンク」が延滞債権を金融会社から一括で購入、その後債務の取り立てを中断し償却
なぜ今「借金帳消し」が必要なのか?
韓国ではここ数年、コロナ禍や物価高による生活苦、景気低迷、金利上昇が重なり、低所得者や零細自営業者を中心に「返済不能」の家庭が激増。2025年初頭には、債務調整を申請した個人が過去最大を突破し、延滞率は過去2倍に悪化。
特に脆弱な自営業者のうち「まったく返済できていない」割合は約12%にも上ります。韓国政府や専門家は、このままだと大量の「ゾンビ債務者」「ゾンビ企業」が急増して社会不安や金融危機に波及する危険を訴えていました。
韓国内で巻き起こる「賛否」とその根底にあるもの
「救済」と「不公平」のあいだで
- 救済派の声:「多重債務に苦しむ庶民や自営業者を切り捨てては社会が持たない。再起可能な環境こそ経済再生の鍵」
- 反対派の声:「真面目に働き、自力で返済した人が損をする。なぜ他人の借金を税金で肩代わりするのか」
政府発表では、過去5年間(2020~2025年)、政策条件に合致する債務を自力で全額返済した人が実は361万人いたことも判明。「自分は返したのに、同じ状況の人が救済されるのは納得できない」と感情的な摩擦が拡大しています。
政策がもたらす経済的なリスクとは?
財政負担の急拡大
韓国の政府・企業・家計の合計負債は過去最高に達し、2025年時点で家計負債2300兆ウォン、企業負債2800兆ウォン、政府負債1100兆ウォンを突破。政府は赤字国債を発行し財源を確保しているため、「未来世代へのツケ」「国家の信用度低下」「金利上昇リスク」など、財政健全性への懸念も強まっています。
モラルハザード(倫理的危機)
長期的には、「借りても返さなくても最終的に国が救済するなら、初めからリスクを負わず安易に借金する人が増えるのでは?」という疑念は、韓国内外の多くの専門家も無視できません。
政策の“波紋”―深刻化する社会分断
韓国はもともと社会の二極化や分断が課題でしたが、今回の政策でその「溝」はさらに深まっています。「真面目に返す意味がない」「努力した人が損をする」という不満が積もり、「公正社会」への信頼は大きく揺らいでいます。
また、隣国・北朝鮮ですら「どっちが社会主義国なのか」と驚きの声を挙げたとも報じられており、国際的にも議論の的になっています。
今後の見通しとあなたにできること
韓国政府は「これ以上不良債権が膨らめば混乱は避けられない」と、苦渋の決断としています。しかし、これからも「誰をどこまで救うのか」「返済努力とのバランスをどう取るか」、非常に難しい舵取りが求められていきます。
他人事のように感じるかもしれませんが、「借金帳消し政策」は景気悪化や社会分断が進む現代社会で、どの国にも起こり得る課題です。あなたがもし借金や金融リスク、社会正義について考えるなら、この韓国の事例から多くのヒントを得られるはずです。
まとめ:あなたはどう考える?
最後にあらためて質問します。
「あなたは困ったとき、国や社会の救済を望みますか?それとも自助努力を最優先にすべきだと思いますか?」
この問いに明確な答えはありません。しかし、韓国で起きている現実を知ることで、日本やあなた自身の「もしも」に備えるきっかけとなれば幸いです。
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