
こんにちは!今年の日本のビジネス現場で「従業員退職型」の倒産が急速に増えていること、ご存じでしたか?一体どんな現象なのか――実際に何が起きているのか、数字とともにわかりやすく解説します。「私には関係ない」と思ったあなたも、今こそ知って、備えるべき“危機”がやってきています。
2025年、「従業員退職型」倒産が急増
2025年1~7月の全国「人手不足」関連倒産は251件。そのうち従業員や経営幹部の退職が直接・間接の引き金となった「従業員退職型」倒産は74件。前年同期の46件から約1.6倍(約6割増)と急増しており、このまま推移すれば年間100件超(過去最多)に到達する見込みです。これは2013年以降の統計開始以降、初の100件台となります。
なぜ従業員退職が、倒産の直接要因になるのか?
- 人材確保が極めて困難に
賃上げ要求の高まり、人材流動性の増加、そして物価上昇など。企業、とくに中小企業は賃上げ競争についていけず、大手や他社へ人材流出が加速。 - 募る人手不足の慢性化
とくにIT、サービス業、建設業など「人がいなければ回らない」現場で、退職が一人でも発生すると事業が回せなくなり、資金繰り悪化から経営破綻へ直結――こんなケースが目立ちます。
どの業界に目立つ?「従業員退職型」倒産の業種別動向
業種 | 2025年1-7月件数 | 全体に占める割合 | 特徴 |
---|---|---|---|
サービス業 | 19件 | 25.7% | IT業、映像制作など慢性的な人手不足。競争激化 |
建設業 | 17件(過去) | 不明 | 資格者離職で事業不能例多い。現場頼み |
製造業・物流 | 細かな数値記載なし | 急増 | 新・働き方改革(2024年問題)で人材確保競争が激化 |
その他 | ― | すべての業種で広がる傾向 |
【補足】サービス業に目立つ理由は、引き抜きや早期離職が多く、人材の“つなぎ止め”が難しい環境だからだと言われています。また建設では資格職が抜けると即座に事業運営困難となる企業が頻発。他業種においても同様の傾向が浸透しつつあります。
倒産パターンが多様化、「賃上げ難倒産」の新潮流
2025年春闘で大企業・優良企業は史上空前の賃上げ【平均5.25%】。初任給30万円台など“給料高騰”競争も激化しています。一方で「無い袖は振れない」中小企業は、満足な賃上げができずに優秀な人材が流出。「賃上げしたくてもできない→人が定着しない→倒産」の負のループが、“賃上げ難倒産”として現れつつあります。
「従業員退職型」倒産に至る背景と要因まとめ
- 賃金アップを求める従業員に企業が対応できず流出増
- 労働市場全体で若手〜熟練まで人材争奪戦
- IT、人材派遣、美容、福祉、建設…各業種に特有の慢性的な人手ギャップ
- 「働き方改革」や新しい規制対応で現場負荷がさらに拡大
- 劣悪な待遇や将来性の不安が従業員を“転職”に走らせる
倒産を防ぐには?会社・従業員のとるべき対策
1. 賃上げと待遇改善の工夫
企業独自の賃金アップが難しい場合でも、食事補助・住宅補助・交通費拡充等、実質的な手取りアップ“福利厚生”拡充で差別化を。
2. 採用チャネル多様化と外部人材活用
従来の求人方法だけでなく、シニア・主婦層・外国人の活用や人材サービス連携など、柔軟な人材活用を検討しましょう。
3. 社内コミュニケーション・定着強化
早期離職を防ぐフォロー強化や働きがいの見える化。従業員アンケートの活用など“辞めたくならない会社”作りが重要です。
4. 業務効率化・IT化推進
業務の棚卸で効率化し人手依存を緩和。IT・DX導入で省人化・生産性向上をすすめることも中小企業の生存戦略です。
5. 事業の集中・選択と経営戦略の再構築
儲からない部門を思い切って縮小、新たな成長分野にシフトする“選択と集中”も時に必要。
あなたの会社、あなた自身は大丈夫?
「従業員退職型」倒産は、他人事でも大手だけの事例でもありません。中小企業のみならず、全業種・全規模の企業が直面しうる現実。特に、今いる従業員の退職・流出が、そのまま経営危機・事業喪失につながる可能性――本当に“他人事”では済まされません。
今こそ、採用・定着・成長・効率化…全方位から自社の「人」戦略を見直しましょう。もしあなたが従業員なら、安易に会社を辞めるリスクとその背景もしっかり知っておいた方が良いでしょう。
おわりに
2025年、「従業員退職型」倒産急増の時代。ビジネスを取り巻く環境は激変していますが、知識と準備で“危機”を“チャンス”に変えることは必ずできます。あなたやあなたの職場が、これからも元気に存続し続けるためのヒントに、この記事がなれば幸いです。
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