
「えっ、もうお茶が飲めないの?」–この春、京都大学のキャンパスを訪れた学生たちから驚きの声が上がっています。京大生協が中央食堂や吉田食堂で続けてきた「無料お茶サービス」が、2025年3月24日をもって突然終了したのです。年間1,000万円以上の経費削減が目的だそうですが、学生生活の小さな「当たり前」が失われる寂しさと、現代の大学生が直面する経済的現実を考えるきっかけになりそうです。
お茶が消えた日
「お昼休みに食堂でお茶を汲むのが日課だったんです」と語る文学部3年生のAさん。3月24日以降、給茶機の前に張られた「サービス終了」の張り紙に毎日のように目をやり、「マイボトルを持参し忘れた日はコンビニでペットボトルを買うしかなくなりました」と打ち明けます。
生協によると、茶葉代に加え給茶機のメンテナンス費・湯飲み洗浄費などで年間1,000万~2,000万円の経費がかかっていたとのこと。コロナ禍で食堂利用者が4~5割減少し、食材費や光熱費の高騰も重なり、累積赤字が2億4,000万円に達する苦境に立たされていました。
学生たちの本音
「節約のため自宅から水筒を持参するようになった」という経済学部2年生のBくん。一方で「授業の合間に手軽に水分補給できる場所が減り、夏場の熱中症が心配」と医学部生のCさんは複雑な表情を浮かべます。
SNS上では「#京大お茶消滅」のハッシュタグが話題に。あるユーザーは「湯のみの洗浄費を削減するなら、学生ボランティアで洗う仕組みを作れないか」と提案していました。
経営悪化の深層
生協関係者が明かす「本当の危機」は、最低賃金の上昇と物流費の高騰です。京都府の最低賃金は2024年10月時点で1,083円(全国3位)。アルバイト人件費の圧迫が食堂経営を直撃しています。
さらに衝撃的なのは「紙コップの完全廃止」計画。将来的にはマイボトルの持参を徹底する方針で、「新入生から環境意識を育てたい」との考えがあるようです。
歴史ある「お茶文化」の行方
京大の無料茶サービスは戦後間もない頃から続いていたとの説も。あるOBは「湯飲みでお茶を飲みながら先輩と議論した思い出がある」と懐かしみます。
生協は「デジタル世代の学生に合わせたサービス転換が必要」と説明しますが、伝統と革新のはざまで揺れる大学の姿が浮かび上がります。
未来の学生生活を考える
この出来事は「当たり前のサービスを持続可能にする難しさ」を象徴しています。環境問題や労働コスト上昇が叫ばれる現代、私たちは「便利さ」と「持続可能性」のバランスをどう取るべきなのでしょうか。
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